英語ができないと悩んでいる人を救いたい

【三宅】本当にそう思いますね。私どもの教室には、いま子どもさんを含めて、7万5000人の受講生がいます。やはり、音読をしっかりやっている人は伸びる。私も、イーオンの外国人教師研修で「皆さんの生徒がイーオンの教室から出た後も声に出して練習すればするほど、レッスンから吸収するものが増える。家で何もやらないと本当にレッスンがもったいない。お金をかけて来ているのだから」という話をよくします。

あるいは企業研修でも、音読を中心ということで、実際にやってみますと、やはり非常に効果があります。「こういうやり方があったのか」「これだったらできる」と、1人ひとりが納得した顔になってくる。英語公用語の企業でもやりましたけれども、非常に大きな成果をあげております。たとえば、先生から学習者に対して、たとえば1日何分音読しなさいとか、そのような時間的な目安はあるのでしょうか。

千田潤一・アイ・シー・シー代表

【千田】時間的な目安より、まず、声を出さない英語学習は無意味っていうことを、はっきり言い切らなきゃダメだと思います。言葉は基本的に音ですから、声を出さない英語学習は無意味だと。声を出しての学習なら、1日5分からでもいいと思います。

大手自動車メーカーに勤めるある女性は、大学ノートに、声を出しながら英文を書く。5回書いたら、声に出して言ってみる。この音読筆写を繰り返しているうちに、言葉が、ポッと、無意識に出るようになったと言います。無意識に口から出る状態をスピーキングといいますから、実に理にかなった訓練ということができます。

【三宅】なるほど、声に出しながら書くわけですね。

【千田】そうです。もちろん、それでもすぐに忘れます。そうしたら、また同じことを繰り返す。5回で瞬間記憶。20回で短期記憶。それを、10ラウンド繰り返すと、「20×10」で200回。これで長期記憶。そして自然に口から英語が出てくるようになります。

【三宅】先生は受講生に対して、また英語ができない人に対しても温かい。できない人はダメだ、ではなくて常に初心者の人に寄り添って、勇気づけるいろんな言葉がありますよね。「1年は365日だけど、365日毎日やれじゃなくて、65日はサボれ」などなど。

【千田】私はスコアの高い人には、あまり興味がありません。放っておいてもやりますから、全然かわいくない(笑)。それよりも、仕事ができる、あるいは学校の成績がいい。でも、英語ができないだけで悩んでいるという人たちを救いたいと考えています。英語難民の救済が私のライフワークです。そういう人たちを励ましたら、すぐに宝物に変わります。英語以外の何かを持っている人たちが、英語もできるようになれば、もっと輝く存在になります。

だから日々、本当に英語で苦しんでいる人向けのメッセージを、いっぱい用意して、どんな悩みが寄せられても大丈夫なように準備をしています。その場所が「英語難民救済センター」で、栃木県の那須高原にあります。年に3~5回ぐらい開催しています。1泊2日の合宿で、土曜日の夕方から、日曜日の昼まで。英語の悩みを出してもらい、それに僕が全部答えるというものです。とても大変な作業ですが、私自身の修業の場と思い頑張っています。

【三宅】元気がなく、悩みを持って来られた学習者が、先生のお話をとおして、元気になって帰られるということですね。

【千田】目が輝き始めますね。その瞬間を見るために、僕は仕事をしているんです。もう、これ以上の幸せはない。僕のミッションは英語難民の救済にほかなりません。救済したと思ってもまた、挫折する人はいます。でも、いいじゃないですか。だって、やめた回数よりも、始めた回数が1回だけ多ければ、永遠に続くのですから。