優れた本の「書き写し」と要約をする!

では、国語の早回し方法について、具体的に紹介していこう。重要なポイントは、読むことと書くことをセットでやらせることだ。

「人は読める範囲でしか、書けません。読める範囲でしか、聞いたり、話したりできないのです。読むというのは、パッシブ(受け身)な作業なので、ただ本を与えるだけでは読んでも内容が素通りしてしまう。子供の中に入っていかない。だから、書く課題を与えて難しい本と格闘させる。逆に言うと、難しいことが書けるようになると、難しい本も読めるようになっていくのです。日本の学校教育では、せいぜい読書感想文くらいしか書かせないので、この訓練が圧倒的に不足しています」(佐藤さん)

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佐藤さんが言う書く訓練とは、「引用」だ。子供に「印象に残ったところを1カ所でいいから、書き写しなさい」と課題を与える。引用する部分は長くても1000文字以内に絞り込ませる。そして、引用した箇所に対して、あなたが思ったことを書かせる。

「作家の浅田次郎さんは、初期の修業時代にアパレルの仕事をしながら、自分で作品の構想が浮かばない時は古典文学を万年筆で写していたそうです。これは言葉のリズムをつかむには、すごく重要。学ぶことは『真似ぶ』ことだから、優れた作品を写す。書いていると、自分の頭で考えることができる。それが非常にいいのです」(佐藤さん)

次に要約。本に書かれた内容を原稿用紙2枚程度にまとめさせる。引用と要約がある程度できるようになったら、「敷衍(ふえん)」に挑戦させよう。敷衍とは、要約の逆で意味がわかりにくいフレーズや言葉を、自分で噛み砕いてわかりやすく解説することだ。これをすると、難しい言葉を使いこなせるようになっていく。

最近、スマホを所有する子どもたちが頻繁に利用している、LINE、フェイスブックなどのSNS。便利な機能だが、やりとりされるのは書き言葉できなく、話し言葉だ。きちんとした書き言葉で書かれた本を読まず、こうした日本語ばかりに触れていると、きちんとした書き言葉を知らぬと、人より抜きんでることはおろか、「中の上」でさえも危うくなるに違いない。