「同盟解体によって日経平均株価が25%下落」と試算

ちなみに、日米同盟を解体した場合、日本独自で補うべき在日米軍の役割とは何であろうか。それは日本に対する武力攻撃の未然防止と有事への対処である。特に、日本に対する攻撃を米国に対する攻撃と同等と見なすことで、日本への攻撃を思いとどまらせる能力(拡大抑止)である。

在日米軍による拡大抑止には3つの柱がある。第1は、在日米軍基地を拠点とする米軍の前方展開部隊。日本は専守防衛原則の下で、攻勢作戦をすべて米軍の分担としている。同盟解体ならこの原則を改め、自衛権の範囲内で自衛隊が攻勢作戦も担う形にしなければ、わが国の安全を保障することができない。

前方展開を担う在日米軍には、沖縄と岩国に駐留する海兵隊、横須賀を母港とする空母機動部隊、三沢や嘉手納を中心とする戦術空軍がある。これらは特に尖閣列島など島嶼部への侵攻に対する抑止力となっている。

第2は、敵国による核攻撃を抑止する、米軍の「核の傘」である。

第3は、敵国のミサイル攻撃からわが国を防衛するための、ミサイル防衛システムである。

第1の在沖縄米海兵隊のうち、有事即応部隊は2000名程度。兵員については陸上自衛隊の隊員で代替可能である。しかし現在の陸上自衛隊には、兵員を速やかに島嶼部に輸送する能力がない。島嶼部防衛のために、米軍海兵隊と同等の輸送力を備えようとすれば、「ひゅうが」型護衛艦1隻、「おおすみ」型輸送艦2隻、エアクッション型揚陸艇4隻、ヘリ24機等が新たに必要となる。その総費用は12年度の価格で2993億円となる。

同様に、横須賀の空母機動部隊も、正規空母のほか護衛艦、補給艦、潜水艦、艦載機、巡航ミサイル等を含む標準編成費用は合計約1兆7676億円に、三沢・嘉手納の戦術空軍は、対地攻撃能力を持つF2と空対空戦闘能力を持つF15Jで代替して1兆1200億円となる。