外食に匹敵する巨大産業は、アレ

比較のために他の市場を見てみましょう。百貨店の昨年の売上は合計で6兆2124億円(※3)、コンビニエンスストアは9兆7309億円(※4)と発表されています。つまり、単純に比較すると外食業界は百貨店の4倍、コンビニの2.5倍の市場規模を誇る巨大産業なのです。

ちなみに、この外食とほぼ同程度の規模を持つサービス産業としてパチンコ業界が挙げられます。パチンコ市場は昨年24兆5040億円(※5)とのことですが、外食と異なるのは利用者の裾野です。年間の利用者は国民の10%にあたる1150万人に留まりますので(といってもこれでも十分に多い感じもしますが)、市場規模を利用者数で単純に割るならば、何と年間1人あたり213万円という計算になるのです。

話を外食産業に戻します。24兆円の巨大市場という説明をしましたが、この業界のひとつの特徴はビッグプレイヤーの不在です。業界のリーダーであるゼンショーグループ(代表ブランドは牛丼の「すき家」)の直近の年商は5118億円ですので、市場シェアとしては2%にとどまります。すかいらーくや日本マクドナルドなど、上位10社の売上を足し上げても2兆円程度ですから、市場全体の10%にも満たないのです。

先ほど比較として挙げた百貨店やコンビニでは、企業の統合などによりプレイヤーが集約されていく傾向にあります。しかしそれとは対照的に、日本の外食産業は大手企業ではなく、それこそ星の数ほど存在する個人店や中小零細企業が日々奮闘することによって成立しているのです。そしてこの状況が、多種多様で個性的な店舗を生み、良くも悪くも新陳代謝が活発な市場を形づくっていると言えるでしょう。