生命保険は健康と命をかけた「クジ」!

こんなことを言うと保険関係者からお叱りを受けるかもしれませんが、そもそも、生命保険というのは、自分の健康や命をかけた賭けです。具体的に死亡保険金を例にすると、100人から1人1万円ずつお金を集め、その中で、1年間に1人の人が死亡したら、集めた100万円はその人がもらって終わる、いわゆる「クジ」のようなものなのです。

当たらなかった人は、死ななかったということで幸いですが、保険料は死んだ方のものになるので、当然支払ったお金は戻ってきません。実際には、支払った保険料から保険会社の経費が引かれ、また、死亡率が予想より低かったら配当が出ます(死差配当)が、ここでは話をシンプルにするために1人1万円、100人でお金を出し合い、その年に1人死んだら、その人が―100万円をもらって終わるとします。

ちなみに生命保険には、後からお金が戻ってくるものもありますが、それは、そのぶんを自分で払っているだけにすぎません。死亡保障と病気保障の基本的な2つの保障は掛け捨てで、仕組みはやはり「クジ」と同じなのです。

つまり、生命保険そのものが、命をかけたギャンブルのようなもの。なのに、さらにそこへ為替のリスクまでつければ、これは二重のリスクがあるギャンブルというほかにありません。

しかも、これらのリスクを負うのはすべて保険の加入者。一方で保険と外貨預金を一度にしてくれるような商品なので、保険会社にとっては保険と外貨の両方の手数料が入る、二重にオイシイ金融商品なのです。だとしたら、保険は掛け捨てで必要な額だけ日本円でカバーし、外貨預金をするならば別にする。そのほうが投資としてはわかりやすいし、保険とセットでなければ、外貨預金が不利な状況になったらすぐに売却することもできるでしょう。

とにかく、自分で理解できないような複雑な保険には入ってはいけません!

繰り返しますが、大切なのは、自ら学び、自分の頭で考え、しっかり理解すること。そのために書いた『ちょい投資』(中央公論新社)、ぜひ読んでみてくださいね。

荻原博子(おぎわら・ひろこ)
1954年生まれ。経済ジャーナリスト。経済事務所勤務後、82年からフリーの経済ジャーナリストとして、新聞・経済誌などに連載。88年より、女性誌『Hanako』(マガジンハウス)の創刊と同時に同誌に女性向けの経済・マネー記事を連載。家計経済のパイオニアとして、難しい経済やお金の仕組みを生活に根ざしてわかりやすく解説。バブル崩壊直後から、地価の下落やデフレの長期化を予想し、現金に徹した資産防衛を提唱し続けている。『貯め込むな! お金は死ぬ前に使え。』(マガジンハウス)『荻原博子のどんと来い! 老後』(毎日新聞出版)『ちょい投資』(中央公論新社)など、著書多数。

 

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