条件なしに自分を肯定できるか?

若新雄純(わかしん・ゆうじゅん)
人材・組織コンサルタント/慶應義塾大学特任助教
福井県若狭町生まれ。慶應義塾大学大学院修士課程(政策・メディア)修了。専門は産業・組織心理学とコミュニケーション論。全員がニートで取締役の「NEET株式会社」や女子高生が自治体改革を担う「鯖江市役所JK課」、週休4日で月収15万円の「ゆるい就職」など、新しい働き方や組織づくりを模索・提案する実験的プロジェクトを多数企画・実施し、さまざまな企業の人材・組織開発コンサルティングなども行う。
若新ワールド
http://wakashin.com/

J君をみていて分かることは、人の邪魔はするけど、傷つけることはしないということです。空気が読めず、場面に応じた言動や適切な振る舞いはさっぱりできませんが、人をなにかと攻撃したり、その評価を下げたりするようなことはしません。とにかく人なつっこく、隙あらばやたらと絡んできて、なんやかんや話に入り込んでくるのですが、自分と他人を比較して、けなすようなことは言いません(酒癖は最悪のようですが)。

とにかくウザいけれども、やたらと愛情深く、なんか応援したくなってくるのです。

聞いてみると、J君はとにかく、両親から無条件に愛されて育ったようです。母親からはいつも、「人と違ったり、勉強ができなかったりしても、家族はそのままのあなたが好き」と言われてきたようです。「◯◯ができるから好き、△△だからすばらしい」という条件付きの評価や肯定ではなく、「なにもなくても、なにもできなくても、そのままでもいい」という条件なしの肯定と愛情をちゃんと受けとってきた人は、自分のことを「無条件肯定」できるようになり、高いセルフ・エスティーム(Self-esteem:自己肯定感)を持つことができるようになると言われています。

ここで重要なのは、家族など身近な人からの愛情によって自分を無条件肯定できる自己肯定感の高い人は、自分と他人とをやたら比較したり、激しくけなしたり攻撃したりしないということです。そして、自分を受けいれてもらえるコミュニティを見つけることができるのだと思います。