日本の富裕層は増えている

しかし90年代に入ると、バブル崩壊と土地の値下がりで、今度は自力で稼げる人が本当のお金持ちとして浮上してきます。2001年の高額納税者リストを見ると、起業家と医者が2大メジャー職業になっています。

そして現在、日本のお金持ちは増加傾向にあります。2014年の政府発表の統計によれば、「自分を上流だと思う」人は増えているし、野村総研が2014年11月に発表したデータによれば、金融資産1億円以上の富裕層が2年間で24.3%も増えている。これには2つの理由があります。1つは「スーパースター市場の登場」。1回の講演で数百万円稼げるようなスター、集客力のある人にスポンサーが集中するようになっているのです。もう1つはグローバル化にともない、日本企業の役員報酬が外資系企業なみに高くなってきたこと。なかには1億円以上を手にする人もいます。

ということは、三大財閥の家系に生まれなくても、先祖代々の土地がなくても、努力次第で富を手に入れられる時代になったということ。もちろん並大抵のことではありませんが、可能性は万人に開かれています。

日本の「お金持ち」史

明治~大正時代【財閥と名士の時代】
●三大財閥(三井・住友・三菱)
●実業家(渋沢栄一、大倉喜八郎、安田善次郎など)

戦後~【オーナー経営者の時代】
●松下幸之助(松下電器)、石橋正二郎(ブリヂストン)など

1970年代~【土地成金の時代】
●土地税制変更後に土地を売った人々

バブル崩壊~【ベンチャー・医者の時代】
●パチンコ業界、消費者金融、IT産業、などサービス型産業企業家
●医者

現在【スーパースターの時代】
●集客力のある文化人、タレントなど
●高額報酬の企業役員

クイズの答え:C

森 剛志(もり・たけし)
甲南大学経済学部教授。京都大学大学院博士課程修了。共著書に『新・日本のお金持ち研究』など。
(構成=長山清子)
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