例えば、仲間と「今度、山登りに行こうよ」という話になったとき、あなたはどうしますか? まずは「初心者が多いから新緑を楽しみながら標高の低い高尾山に登ろう」とか、「山岳部の仲間たちと、本格的な装備を持って槍ヶ岳に挑戦しよう」など、プランを考え、ルートやスケジュールに落とし込むでしょう。つまり、

●どの山に登るのか
●誰とどう登るのか

を、検討し、計画し、実行に移すというわけです。

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リーダーシップとは「山登り」である

このとき、「どの山に登るのか」を決めるのが、「目標、課題設定」であり、「誰とどう登るのか」は「ネットワーク構築」です。これらについての意思決定を行い、仲間を巻き込み、ともに山登りをするのがリーダーシップというわけです。

「どの山に登るのか」を決めるときは、高すぎると無謀なチャレンジになりますし、低すぎても満足感、達成感がありません。一緒に登る人のスキルや天候なども考えあわせて、適度な高さの山に設定することが大切です。

「いやいや、会社の中では、『どの山に登るのか』を考えることは、ほとんどない。目標も課題も上から降りてきますから」という人もいるかもしれません。確かに経営の意思決定を行う経営層ならばいざしらず、多くの現場のマネジャーにとって、少なくとも「どの高さの山に登るのか」は、「前年比売り上げ120%達成」などと、あらかじめ決まっている場合が多いものです。しかしながら、その目標、課題をどうやってクリアするのか、「新商品発売直後に思い切ったPRを仕掛ける」「担当エリア内の店舗への営業を強化する」など、具体的に登る山を決めて示すのはやはりリーダーの仕事です。

「誰とどう登るのか」についてですが、これもまた「誰と登るのかは、チームメンバーが決まっていて選べない」という場合が多いでしょう。ですが、チームメンバーのスキルを把握し、そのレベルに合わせて、どのコースで登るのか、休憩は何回取るのかを考えたり、誰にどんな役割を任せるのか、といったことを決めたりするのはリーダーの役割です。