いっぽう、IQが高い人は、お金に限らずどんなコトやモノに関してもよく考える傾向がある。たとえば大金を手にしたら、「自分が経済的に豊かになったことにはどんな意味があるのだろうか」「そもそもお金を持つことで幸せになれるのだろうか」「有意義なお金の使い方とはどんなものだろうか」などと考える。「考えすぎる」と言ってもいい。そして、最終的には「金持ちといっても、上には上がいるよな」などと悟ってしまい、「この富を守り続けることができるだろうか」とくよくよ思い悩んだり、卑屈になったりもする。せっかく出世をしても、プレッシャーから鬱になってしまう人もいるほどで、IQが高い人は財をなしても素直に喜ぶことができないのだ。彼らは、どちらかといえば暗くて嫌みなお金持ちになっていく。「金を持っているのにケチだな」と感じるか、「思慮深い人だな」と感じるかは、捉え方次第だろう。

また、IQが高い人は心理学的に見て「中心ルート」という深い考察を伴う思考法をとる。たとえば、「フェラーリは高級車だし、カッコいいから乗りたい!」とは思わず、ボディの強度はどうか、燃費はどうか、パブリックイメージとしてどうか……と、さまざまなことを総合的に見てから判断しようとする。周辺ルートで考える人は「雰囲気」や「ノリ」でフェラーリを買えるが、中心ルートで考える人はスペックをしっかりと吟味しないと納得できないのだ。

このように考えていくと、「高学歴で一流企業に勤めるサラリーマン」が出世してお金を持ったところで、あまり無茶なお金の使い方はできないことがわかる。六本木の高級クラブから出てくるようなブランド物に身を固めた人たちをよく観察してみよう。日本経済を回しているのは、あまり賢い人たちではないのかもしれない。

心理学者、臨床心理士 植木理恵
日本教育心理学会で最難関の「城戸奨励賞」「優秀論文賞」を史上最年少で連続受賞。現在、カウンセラーおよび慶應義塾大学で講師をつとめる。著書『脳は平気で嘘をつく 「嘘」と「誤解」の心理学入門』など。
(撮影=奥谷 仁)
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