定年前にやっていた資産運用については、意外な結果が出た。高利回りが期待できるリスク商品で運用する人ほど資産が増え、逆に低利回りの安全な商品で運用する人ほどお金が貯まりにくいのかと思いきや、実際はリスクの程度に関係なく、どの運用方法についても、金持ちジイさんが中流・貧乏ジイさんを上回った(図7-1)。

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図7:定年前にやっていた資産運用

「お金を貯める王道の方法は、毎月の給与から天引きして積み立てることです。お金を貯められるのは、こうしたあたりまえのことをコツコツやれるタイプ。金持ちジイさんに、財形や定期預金などの堅実な方法で運用してきた人が多いのは納得です」

金持ちジイさんが堅実派だとしたら、なぜ株や投信、外貨預金などのリスク商品で運用している人も多いのか。藤川氏は、その疑問にこう答える。

「銀行が放っておかないからです。預金が3000万円あれば、『眠らせておくのはもったいない』と電話がかかってきます。金持ちジイさんになる人は、コツコツと貯蓄しつつ、一部をリスク商品に振り分けるのです」

資産運用の開始年齢は早いほどいい。40歳未満で運用を始めた人は金持ちジイさんで61.5%、中流ジイさん64.4%だが、貧乏ジイさんは46.8%で半数を切った(図7-3)。

「実はほとんどの人は運用で失敗します。実際、リーマンショックの損失をまだ取り返せていない人がほとんど。ただ、どうせ失敗するなら若いうちのほうがいい。若いうちは運用額が小さく、勉強料としての損失額も小さくて済みます。そうやって経験を積むことでコツをつかみ、ようやく運用で利益をあげられるようになっていく」