ベストな“探客”の追求が可能に

残る2つのツール、アナログ手帳と携帯電話のアラーム機能をどう活用しているのか。

個人の時間管理はアナログ手帳と携帯電話で。松浦さんが「生き残りのカギ」とする組織の時間管理は、D-SMARTによるスケジュール共有が核だ。

「D-SMARTを出先で使うのにタブレット端末を持ち歩いていたこともあるのですが、やはり手間がかかります。お客様の前で用件をメモするときなどは、アナログの手帳のほうが便利です」

携帯電話のアラーム機能は、スケジュールに合わせて、事前に鳴るように設定する。

「たとえば、電話をする約束があるのに、その時間に移動中でつい忘れてしまうということがあるでしょう。そういうミスを防げます」

こうして3つのツールを駆使し、松浦さんが一顧客の契約にこぎつけるまでの期間は、1カ月半から2カ月ほどとか。また、人が家を持ちたいと思い始めてから決断するまで約2年かかる、との調査データがあるそうだ。

とすると、より重要なのは、「顧客との接触を重ねること」だとわかる。大和ハウスがあえて“探客”という造語を使うゆえんと見た。

「お客様が展示場に来られたそのときから、いかにいい人間関係を築いていくかが最も重要だと思います。大切なのは、お客様の生活のあり方や要望を、できるだけ早くつかむこと。それを設計図面や資金の形に落とし込んで表現していく。契約を促すというより、『家を持ちたい』という動機づけをいかに深めていくかがポイントです」

顧客がどんな家を、どんな生活を望んでいるのか。それは1回や2回の訪問ではつかみきれない。ヒアリングと提案を繰り返すことが大切だ。数千万円もする買い物を決断するハードルを少しずつ下げていくように努めるという。

「展示場のお客様は、親身になって家づくりをサポートしてくれる営業を探しにくるのだと私は思っています」

時間管理は、自身の個々の業務を明確にするための重要なベース。松浦さんの好業績とその基礎となる“探客”も、店長就任で時間管理の重さを知り、実行することで初めて可能となったのである。

●松浦 力さんの24時間

6:00 起床→シャワー、犬の散歩、朝食。新聞はモバイルで
8:30 車で出勤
9:00 朝礼(約30分)→ロールプレイング
10:00 外回りor打ち合わせ・資料作成
18:00 戻り・夕礼(約30分)→成果報告、翌日の業務の確認、残務処理
21:00 帰宅→入浴・夕食・音楽・読書(風呂で)
24:00 就寝

(永井 浩=撮影)
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