亡くなる人は増えるが後継ぎは減る。社会の急速な変化にあわせて、介護、葬式、墓の常識は今、ここまで激変した!

【QUESTION】遺族が喜ぶ「エンディングノート」の使い方とは?

「円滑な遺産相続には、記録を残しておくことが重要です。ただ、遺言作成はハードルが高いので、まずはエンディングノート(遺言キット)の記入からはじめるといいでしょう」と本田桂子さんはアドバイスする。本田さんは遺言相続コンサルタントとして相談業務を行っている、その道のプロだ。その本田さんが「エンディングノートがあってよかった」と振り返る出来事があった。2014年3月に奈良県在住の実母が亡くなったのだ。

本田さんの母は5年前、癌で「余命1年」と宣告されたことをきっかけに、エンディングノートを意識しはじめた。ただ、そのころは闘病だけで精いっぱい。実際に書きだしたのは1年以上経って症状が落ち着いてからだ。「時には隣に座る私に昔話を聞かせながら、自分の手で少しずつ空白のページを埋めていきました」(本田さん)。

数多く出揃ったエンディングノート。記入欄が多岐にわたるため空白のままにしておくケースも。残される人のため「家系図」など大事な項目から少しずつ記入してほしいと本田さんは語る。

エンディングノートはたくさんの種類が出回っている。しかし、たいていは記入する項目が細部にわたるので「空欄をすべて埋めなければ」と考え、筆が止まってしまう人が多い。だから、できるだけシンプルな構成のものを選んだほうがいいというのが専門家の一致した意見だ。そうでなくても、重要度の低い項目は先送りして必要なところから記入していくようにするといいだろう。

どんな項目が必要なのか。本田さんによると、役に立つのはアドレス帳とプロフィール欄の家系図だ。まずは葬式の通知を誰に出せばよいかが一目瞭然。「親戚関係は日ごろ『○○ちゃん』『東京の叔母さん』で済ませていることが多く、フルネームで記載するのは重要です。直系に加え、祖母の兄弟姉妹などの情報があれば、なお助かります」。