数字に苦手意識を持つすべてのビジネスマンへ。決算書の読み方から原価計算まで、それぞれの仕事内容に即した会計の知識を解説する。これで会計の知識を仕事で活かせるようになるはずだ。

損益分岐点を日付で考えると?

数字や会計に苦手意識を持っているビジネスマンは多い。いつまでも苦手のままでいるのは、会計を勉強するときのゴールが見えていないからだ。ひと言で会計といっても、人それぞれ立場によって必要な知識は異なる。自分の仕事とつなげてゴールを考えることが大切だ。

ROA、ROEといった経営指標や数値を示されても、多くのビジネスマンは実感がわかないだろう。リストラなどをめぐる労使の対立構造を見ても感じることだが、労使間で危機感の共有ができていない理由は、会社の数字を現場が把握していないことが大きい。危機感の共有には、現場の仕事にブレークダウンした数値の共有が不可欠だ。

たとえば赤字と黒字の分かれ目である「損益分岐点」は、押さえておくべき数字だ。しかし、分数や比率で伝えられても、仕事にどう結びつくのか、重大さを認識しにくい。

そこで、ゴルフ場などを経営するある会社では、損益分岐点を「日付」で表現している。毎日、売り上げとコストを累積計算し、「今年は、本日○月×日でやっとコスト回収完了。去年より△か月も遅かった」などと公開するのだ。

このように工夫すれば、一人ひとりがコストの重みを共有でき、改善の意欲も増すに違いない。興味のあるテーマから、数字の活用法について読み進めてほしい。

会社の数字の勉強は簿記から――まずはそんな思い込みを捨てよう。じつは、簿記の知識は、「決算書をつくる」経理の仕事に携わっている人以外、ほとんど必要ない。“非経理部門”に携わる人に最低限押さえてほしいのは「決算書を読む」知識だ。

決算書というと、難しい印象を持つかもしれないが心配はいらない。ざっくりと図式イメージで決算書全体を捉えることからスタートすればOKだ。

図1:決算書は「点と線」でつかむ
写真を拡大
図1:決算書は「点と線」でつかむ

最初のポイントは、貸借対照表(B/S)と損益計算書(P/L)の関係性だ。それは「点と線」のイメージで表すことができる(図1)。

点は決算日のストック(ある時点の量)で、「決算時点で会社がどれだけ財産や借金を持っているか」を示す。線は一定期間のフロー(量の変化)で「前期の決算日から次の決算日までの儲け(利益)の増減」を示す。

決算書に記されている日付を見るだけでも、点(B/S)と線(P/L)の関係性をつかめる。B/Sでは、「○年12月31日」という決算時点の日付が、P/Lには「自 ○年1月1日 至 ○年12月31日」という決算期間が記される。つまり1年間の推移(=原因)を表すのがP/L、その累積状況を表した(=結果)のがB/Sというわけだ。