ビル・ゲイツもアル・ゴアもガンジーもみんな内向型だった

学者や芸術家に内向型が多いといわれれば違和感はない。たとえば科学者のアインシュタイン、音楽家のショパン、小説家のプルースト、映画監督のスピルバーグなどだ。もちろん、ビジネスや政治の世界でも内向型のリーダーは多く存在する。マイクロソフトの共同創業者ビル・ゲイツ、同グーグルのラリー・ページ、政治家アル・ゴア、インド独立の父・ガンジーなどをケインは例として挙げる。

では、どんな人が内向型なのだろうか。同書では思慮深くて理性的、真面目で謙虚、孤独を求める「熟考の人」を内向型、意気軒高で明るく、社交的で目立ちたがり屋の「行動の人」を外向型と定義する。

違いは生まれつきの遺伝なのか、育った環境によるものなのか。ケインはその問いに対する答えをハーバード大学の発達心理学者、ジェローム・ケーガン教授の研究に求める。

ケーガンは、生後4カ月の乳児に様々な刺激を与え、反応を観察する実験を行った。録音した音声を聞かせたり、色鮮やかなモビールを見せたりしたのだ。結果、全体の2割は元気よく泣き、手足をばたつかせた。4割は静かに落ち着き、残り4割はその中間の反応を示した。

ケーガンいわく、物静かな内向型になるのは、手足を元気よく動かした「高反応」グループであり、落ち着いていた「低反応」グループは外向型になると。実際、その乳児たちを2歳、4歳、11歳の時点で研究室に呼び、観察したところ、ケーガンの予測どおりだった。ケインは書く。

「外向型は『社交的』で他人を思いやり、内向型は他人と触れあうのを好まない『人間嫌い』だという説がある。しかし、ケーガンの研究では乳児は人間に対して反応しているのではない。高反応な赤ん坊は人間嫌いではなく、単に刺激に敏感なのだ」