中国子会社が不正会計で破産

米ゼネラル・エレクトリック(GE)の上席副社長を務めるなど、国際ビジネスに精通した「プロ経営者」としてLIXILグループの海外事業を加速してきた藤森義明社長が、自ら描いた成長路線で大きな“やけど”を負った。

買収した中国子会社が不正会計で破産に追い込まれ、2014年3月期からの3年間に最大660億円の損失が発生するからだ。積極的な海外企業の大型M&A(合併・買収)で、LIXILの海外事業を一気に拡大した経営手腕への評価は高かった。半面、M&Aの成果がしっかり実を結んでおらず、自己資本利益率(ROE)も低水準にとどまっており、その矢先の“自責点”は、プロ経営者にとっては大きな不覚にも映る。

LIXILグループ 藤森義明社長(AFLO=写真)

不正会計が発覚したのは中国で水栓金具、衛生陶器を生産するジョウユウで、14年1月に買収したドイツ水栓金具大手、グローエの子会社だ。LIXILは今年4月に両社を連結子会社としていた。LIXILとしては、中国全土に約4000店の販売網を持つジョウユウの営業基盤を生かし、巨大な中国市場での橋頭堡に位置付ける狙いだった。

しかし、これが裏目に出た。ジョウユウは巨額な簿外債務を抱え、財務諸表と実際の売上高や負債などが大きく異なった。不正会計が明らかになったのは連結子会社にした直後で、不正会計を見抜けなかった点でLIXILの落ち度は否めない。この結果、藤森社長が強力に推し進めてきた海外拡大路線は、見直しを迫られるとの見方も広がった。