ワクワクドキドキする毎日を

同社は、発展途上国の保健医薬へのアクセス問題改善のため、「顧みられない熱帯病」の新薬創出にも取り組む。住血吸虫症治療薬の世界初の小児用製剤開発もその一環で、これには製剤技術が大いに生かされる、と迫氏はいう。

「6歳未満の小児や乳幼児用の治療薬がありません。大人用の薬は大きくて苦くて、とても小児は飲み込めないのです。うちには口内で速やかに錠剤を溶かす技術や、苦みを隠す高度な技術があるので、これらを駆使して小児用製剤開発に挑戦しています」

職場では時間の効率化と、日々戦う迫氏だが、どこで英気を養っているのだろうか。

「朝は4時半頃に起きます。今日の予定を考えて、興奮して目が覚めます。インタビューや来客があると、どんな話ができるのか、と想像してワクワクします」

研究者に必要な要素は直観力とヒラメキである。直観力は経験で磨かれるが、ヒラメキは天性のもので、時として外部の人間の何気ない発言などで刺激されることが多い。迫氏が多くの人と接することを歓迎するのは、英気はそこで養われているということなのだろう。興奮とワクワク感は、迫氏の真骨頂といえよう。

出張も多く、昨年12月は延べ18日間に及んだ。国内の学会や大学、東京本社などである。加えて、米国、欧州と、活動の範囲は多岐に及んでいる。

最後に、ポツリと一言。

「製剤の技術で世の中から疾病を一つ消したというのが一つの目標であり、夢なのです」

変わらぬ笑顔で語った。

●迫和博さんの24時間

(上)チームでディスカッション(下)メールチェック

4:00 起床(ワクワクして目が覚める)
5:00 研究分野の勉強
6:00 朝食→お菓子タイム(家族とおいしいお菓子を食べながら会話をするのが楽しみ)
7:00 出社
8:00 メールチェック→研究所に向けたブログの作成
9:00 室長会議
10:00 研究室の報告会
11:00 チームでディスカッション
12:00 ランチ→ゴルフの素振りなど軽い運動
13:00 広報部と打ち合わせ→取材対応
15:00 打ち合わせ
16:00 会議→打ち合わせ
18:00 中期計画の調整
19:00 メールチェック
20:00 帰宅→食事
21:00 入浴→妻と会話→読書(科学論文、科学書など何でも)
23:00 就寝

(的野弘路=撮影)
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