川崎信用金庫のお年玉アンケート調査によれば、2010年のお正月に小学生がもらったお年玉の平均は2万5304円。そのうち貯蓄に回した平均額は1万8998円也――。

子供のお年玉を親が預かって貯蓄している家庭もあるだろうが、そもそも子供がもらったお年玉を親が、半ば強制的に預かってよいものなのだろうか。

「子供とはいえ一個の人権主体です。民法第三条第一項には『私権の享有は出生に始まる』とあるように、人は生まれ落ちた瞬間から財産権を含むあらゆる権利義務の主体になる。だから物心が付く前にもらったお年玉でも子供の財産」

こう語るのは中田光一知弁護士。お年玉は法律的には「贈与」に該当するが、香典や見舞金などと同様に「社交上必要なもの」として贈与税の課税対象外に置かれているという。

「しかし年端もいかない子供が自分で財産を管理することはできない。そこで一人前になるまで、『親権を行う者は、子の財産を管理し、かつ、その財産に関する法律行為についてその子を代表する』(民法824条)ことになる」(同)

中学生、高校生になればお金の管理能力も相応についてくる。子供の生活において必要と思われる範囲内で財産の管理処分権を徐々に与えていくのが一般的だろうが、子供から「預けていたお年玉を返して」と言われることもあるかもしれない。

「『親権を行うものは子の監護及び教育をする権利を有し、義務を負う』(民法820条)という親権の効力の規定からすれば、親には子供がどれくらい成長したかを見極める権利と義務もある。となれば『おまえにはまだお金の管理は早い!』とはね付けることもできそうです」(同)

では、親はいつまで子供のお年玉を預かっていられるのか。民法828条は子供の財産管理について「子が成年に達したときは、親権を行った者は、遅滞なくその管理の計算をしなければならない。ただし、その子の養育及び財産の管理の費用は、その子の財産の収益と相殺したものとみなす」と規定している。