落ちこぼれる寸前にあえぐ口ぐせ

不毛な禅問答のようなラリーが続くと、20代の社員の中から、うつ病になったり、辞める者がひとりまた、ひとりと現れる。

部長は、こんな説明をしていた。

「マネージャーがするのは、20代の社員がなぜ、コピーを書くことができないのか、と考えること。そして、できない理由をみつけ、それをわかりやすく教えること。さらに、コピーができるところまで引き上げること」

この一連の流れがない中で、「あなたは、コピーライターをするために、うちの会社に来たんだよね」と言葉をかけたところで、20代の部下は困惑するだけなのだという。

部長は、厳しい見方をする。

「マネージャーの中には、仕事の再現性を身に付けていない者がいる。自らが20代の頃に、たまたま、そこそこのレベルのコピーを書くことができた。しかし、それは偶然でしかない。いかなる場合でも、そのレベルのコピーを書く力は身に付けていない。その意味で、プロとは言えない。20代の素人に教える域には達していない。自分自身が素人だから……」

こういうマネージャーたちは、活躍する場がしだいになくなる。20代が30代となり、その中に優秀な者がいると、追い抜かれていくようだ。

「~君は~だから」は、ゆきづまった上司が、落ちこぼれる寸前にあえぐ口ぐせと言えるのかもしれない。拙書『会社で落ちこぼれる人の口ぐせ 抜群に出世する人の口ぐせ』(KADOKAWA)で、そんな管理職たちを冷めたまなざしでとらえてみた。