価値あるアドバイス求めるなら相談料を

必要な保障だけを確保して保険料を抑える。これが保険の使い方として王道だとすれば、手数料を糧とする販売者とは、チャネルを問わず利益相反の関係にある。

それでも、複数の保険を扱っている保険ショップなどの乗合代理店には、複数の保険商品の比較情報を提供してもらえるなどの利用価値がある。

「どんな保障が必要かは自分で把握し、最後の最後、相談ではなく商品を見せてもらう、という活用の仕方ができるといいでしょう」(清水さん)

必要な保障についてアドバイスを受ける場合には、有料相談を受けるのが賢明だ。数百万円もの保険料を考えれば、保険を売らずともよい識者の助言を受けるための1万~2万円程度の相談料はコストパフォーマンスが高い。

後田さんは、「昔から変わらず、定番で、どこからも文句が出ない。この3つで保険を考えるといい。健康法について、健康食品やサプリメントの摂取は賛否両論でも、バランスのいい食事、睡眠、適度な運動に文句を言う人はいない。保険も、子どもが小さい間は死亡に備えた保険、ということに異論はないが、がん保険や医療保険、貯蓄目的の保険に関してはいろいろな意見があり、絶対ではなく、無理に利用する必要はない。この考え方で70点は取れる。後の30点は具体的な商品選びだが、保険の使いこなしが人生の目標ではないのだから、残りの30点を稼ぐ必要はなく、70点で十分です」と話す。

アドバイスに価値を求めるのであれば、相応の相談料を負担すべきだ。この意識が根付かなければ、真っ当にやろうとする人が育たない。

「たとえば、医者が診察料を取らないとしたら、薬を大量投与したり、風邪でも手術するといったやり方でお金を取ることになりかねない」(後田さん)

これでは患者も金ばかり吸い取られ、根本的な治療など受けられまい。

外交員とのアポイント、代理店への訪問といったことに時間をかけるのであれば、その時間を使って保険の本を1冊でも読んでみるというのも大きな意味があるはずだ。「保険は必要最小限にとどめる」「不安に踊らされない」ことを肝に銘じたい。