犯罪者が来る前に犯行現場を予測して駆けつける──こうした「犯罪予測」の手法が、欧米の警察で次々に導入され始めている。

「一般に『動機があれば犯罪は起こる』と考えられているが、それは間違いだ。犯罪の動機を抱えた人が犯罪の機会に出合ったときに、初めて犯罪は起こる」と立正大学文学部社会学科教授の小宮信夫氏は語る。犯罪の機会、つまり犯罪が成功しそうな場所・状況・環境などの特徴をデータから導き出し、共通点を抽出して“未来の犯行現場”を予測することで、先手を打つのである。

この犯罪予測は、コンピュータを使うものと人間の判断力によるものとに大別される。

予測型警察活動を展開する、メンフィス市警のリアルタイム犯罪センター。(WEBサイト「小宮信夫の犯罪学の部屋」より=写真)

前者は「インテリジェンス主導型警察活動」と呼ばれ、ビッグデータを活用する。たとえば米テネシー州メンフィス市警は、IBM社の犯罪予測ソフト「ブルークラッシュ」を2006年より全面導入。凶悪犯罪が大幅に減少した。

後者は「犯罪機会プロファイリング」と呼ばれ、「入りやすい」「周囲から見えにくい」といった“犯罪が発生する確率の高い場所”を診断するもの。

犯罪を未然に防ぐことができれば、治安の向上だけでなく、警察や司法などにかかるコストも下がる。メリットは意外と大きいのだ。