2015年7月15日(水)

「無人タクシー」は実現するか

茂木 健一郎:世界一の発想法

PRESIDENT 2015年6月15日号

著者
茂木 健一郎 もぎ・けんいちろう
脳科学者

茂木 健一郎1962年、東京都生まれ。東京大学理学部卒業後、東京大学大学院理学系研究科物理学博士専攻博士課程修了。理学博士。第4回小林秀雄賞を受賞した『脳と仮想』(新潮社)のほか、著書多数。

執筆記事一覧

茂木 健一郎 写真=AFLO
1
nextpage

「シンギュラリティ」(技術的特異点)という言葉が、このところしばしば見かけられるようになった。

人工知能が人間の知性に追いつき、追い越す。そのような時代には、私たちにとって予想ができないような事態が起こる。

技術のイノベーションが、社会の中のさまざまな「特異点」へとつながっていく。近未来に向けて、私たちの想像力、適応力、そして何よりも「受け入れる力」が試されるのである。

米国で拡大中の相乗りサービス「Lyft」は、ピンクの口髭がトレードマーク。(写真=AFLO)

米国では、タクシーの乗り合いサービスが増え、サンフランシスコなどでは乗車スポットの数も増えてきた。人間による運転から、自動運転へと移行すれば、そのようなビジネスはさらに普及する。

人工知能による車の自動運転の普及がもたらす変化は、まさに革命的である。タクシー配車サービスの先には、物流の革命があると言われている。自動運転車に加え、無人機(ドローン)などが活用されることで、人だけでなく、モノを移動させる手段が、高度で、知的で、便利なものになるのだ。

そのような変化の先に何があるか、現時点で完全に予想することは難しい。しかし、鍵となるのは「共有(シェア)」だろう。

シェアする経済が加速化する。移動や物流の手段を「所有」したり「専有」したりするのではなく、「共有」することで全体の効率を上げ、コストも下げることができるようになるのだ。

従来のホテルや旅館とは異なる形で、個人の住宅やアパートを宿泊場所に提供するサービスも出現している。自動運転車に相乗りし、移動先では個人の住宅の空き時間を利用して休憩し、宿泊する。そんなことも、人工知能によって可能になる。

PickUp