ブームの統計学をかじってみたが、仕事での使い方がわからない──。そんな悩み、ありませんか?  例題を解きながら、その活用法を解説します。

平均値と中央値
課長が納得! 営業不振の原因、予算達成の可能性

図を拡大
(A)地域Aで過去1カ月に生じた遅延補償金に関するデータ(B)上司へ報告したグラフ
【例題】トラブル発生、上司にどう報告するか

あなたは消費材メーカーで地域Aの物流部門を担当しています。最近、配達遅延による補償金の出費が目立つとの関係各所からの指摘が増えました。そこで過去1カ月間の遅延によって生じた遅延補償金額の状況A(図参照)をグラフ化しましたB(図参照)。

上司へ報告したところ、「うーん。社内のみんなが遅延は問題だと騒いでいるのは確かだけど、実際どのくらい深刻なのか、これじゃよくわからないぞ。やり直しだ」。

──あなたならどう解決しますか。
 

課題を解くためのPOINT1:平均値とは
「問題のインパクト」をシンプルに見せる

▼膨大なデータから全体を把握するには

「配達の遅延による補償金の出費が目立っている。これは大きな問題だ!」

ビジネスの現場ではこんなふうに何らかの問題が発生し、そこにみんなが一様に注意を向けることは珍しくありません。しかし「これは大きな問題だ!」と言いながら、具体的にどのくらいインパクトのある問題なのか理解せずに騒いでいる人がたくさんいます。

問題の大きさがどのくらいか具体的に分析してみると、実務上取るに足らない大きさだった、ということはよくあるものです。もちろん、みんなが思っている以上に問題は深刻だった、という逆のパターンもありえます。

いずれにせよ、きちんと問題の大きさを見極めなければ、適切な対応ができません。ほかにもっと重要な課題があるのに優先順位の低い問題の改善に時間と労力を注ぎ込んでしまったり、深刻な問題を見過ごし放置してしまったりしてはいけません。

では「その問題はどのくらいの大きさか?」を知るにはどうすればよいでしょうか。そこで役に立つ、便利で使いやすいツールが「平均」です。