激昂するあまり、暴言を吐かれるケースもある。この場合、注意すべきは言葉に引きずられないこと。とくに企業同士では「これは損害賠償ものですよ!」「訴えますよ!」といった脅しとも取れる言葉を使う人がいるが、それに引っ張られると事態が余計に混乱するというのだ。

「先日あったケースでは、相手から『訴えられてもおかしくないんですよ!』と言われ、『いや、訴えられたら困ります』と返してしまったために、論点がクレームの内容から訴える・訴えないになってしまいました。ヒステリックな相手の言葉にそのまま乗っかってしまうと、本来解決すべき問題からずれていってしまうことが多いのです」(クレーム・コンサルタント 谷 厚志氏)

「バカ野郎!」などといった暴言を吐く相手にはどう対応すべきか。怒りのボルテージを下げさせるには、頭が真っ白になって言葉が出てこないふりをするのも有効である。谷氏は顧問先の一つである銀行に対して、こうアドバイスしているという。

「もしお客様からカウンター越しに一方的に怒鳴りつけられたら『す、すみません。お客様の言葉で怖くなってしまい、なんと申し上げていいのか……』と言う。すると暴言を吐いた側は『いや、怖がらせようと思って言ったわけではなくて』と慌ててしまうことがほとんどです」(谷氏)

【答え&解説】女性の場合は大声でわめく、男性の場合は「おまえにも家族がいるんだろ!」などと暴言を吐くのがこのタイプの特徴。ガス抜きさせて落ち着かせること。Aのようにすぐに解決策を切り出す、Bのようになだめるのは逆効果。まずは話を聞くスタンスのCでいこう。

弁護士 間川 清
1978年生まれ。25歳で司法試験に合格し、ポート川越中央法律事務所を設立。損害賠償事件、刑事被告人弁護など年間200件以上の弁護士業務を担当。被害者への謝罪・示談交渉、悪質クレーマーへの対応等を通して謝罪術を確立。著書は『うまい謝罪』など。
クレーム・コンサルタント 谷 厚志
1969年生まれ。リクルートにてCS推進室を担当。2000本以上のクレーム対応を通して「クレーム客をロイヤルカスタマーに変える方法」を確立。現在は独立し、コンサルティング・講演などを行う。著書は『「怒るお客様」こそ、神様です!』など。
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