2015年7月9日(木)

「妖怪ウォッチ」の原点は「江戸妖怪大図鑑」だった

「ヒット」と「儲け」のツボ【1】ヒットの定番史

PRESIDENT 2015年1月12日号

著者
東 雅夫 ひがし・まさお
文芸評論家、アンソロジスト

1958年生まれ。早稲田大学第一文学部卒。怪談専門誌「幽」編集長。著作に日本推理作家協会賞を受賞した『遠野物語と怪談の時代』のほか、『妖怪伝説奇聞』『なぜ怪談は100年ごとに流行るのか』など多数。

東 雅夫 構成=長山清子 撮影=澁谷高晴
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なぜ「妖怪」ブームはくり返すのか

『妖怪ウォッチ』が子供たちに大人気です。ストーリーを簡単に説明すると、「さくらニュータウン」に住む小学5年生の天野景太は、妖怪ウォッチという腕時計をはめることで、猫の地縛霊「ジバニャン」などの妖怪が見えるようになる。景太は彼らが人間界で引き起こす諸問題を解決し、最後には友達になるという話です。

「妖怪ウォッチ」の人気キャラクター“ジバニャン”。

しかし親の世代には、『ゲゲゲの鬼太郎』のほうが馴染み深いでしょう。テレビシリーズだけでも7回製作され、毎回人気を呼びました。そこへこの『妖怪ウォッチ』ブーム。なぜ、これほどまでに妖怪は私たちを惹きつけるのでしょうか。

その前に、まず「妖怪とは何か」をはっきりさせておきましょう。鬼太郎世代なら、妖怪といえば「子泣き爺」「一反もめん」などのキャラクターを連想するでしょう。しかし妖怪という言葉を辞書で引くと、「怪しい、不思議な現象や物体」などと書いてあるはず。妖怪とは、まず“現象”のことなのです。

妖怪が“現象”からお化けなど“人間以外のモノ”を指すようになったのは、江戸時代に出た1冊の本がきっかけです。安永5年(1776年)、鳥山石燕という絵師が『画図百鬼夜行』という画文集を出しました。これは妖怪の絵の横に簡単な説明がついた、図鑑のような体裁です。水木しげるの妖怪漫画や京極夏彦の妖怪小説にも影響を与えています。

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