部下は上司をよく見ている

人が伸びるためには、褒められたいからがんばる、ということではなく、みずから成長する力を身につけることのほうが大切なのではないかと思います。それぞれが志や夢、信念や情熱をしっかり持ち、自分の頭で考え努力する。

以前の連載で「リーダーは育てるものではない、育つものである」と書いたように、人はみな「育てるものではなく、育つもの」です。本人がみずから成長しようとする意識を持ち、育つ環境を整えることが、上司や親としての務めだと私は思います(第9回 http://president.jp/articles/-/15215 を参照)。

もうひとつ、「背中を見せる」ことも上に立つ者の責任です。「子は親の背中を見て育つ」と言いますが、部下も上司やトップの背中を見て育ちます。私も社長に就任してからは、社員にどう背中を見せるかを絶えず意識してきました。

上司がただ“がんばっている姿”を見せるだけでは、部下のやる気や努力を引き出すことはできません。私がいつも社員に話すのは、「がんばります」だけでは不十分で、「何をどうがんばるのか」が重要だということ。セーレンでは、上司の仕事を「現場がしっかりと付加価値を生み出せるよう、管理監督すること」と定義しています(第2回 http://president.jp/articles/-/14461?page=2 を参照)。