テンポ116で仕事の効率アップへ

単純な繰り返し作業をするときには、何か音楽がかかっているほうが、仕事への気分ものってくる。工場の組み立てラインでも、音楽を聴きながら作業したほうが早く、ミスも少なく仕事をこなせるという。実際、音楽を聞きながらのほうが画像や文字や数字への認識能力が高まり、処理が早くなるとの研究結果もみられる。これまで何度も繰り返してきた“慣れて得意な作業”であれば、音楽を聞くことでパフォーマンスがあがるのだ。たとえば外科医が手術をするときすら、手練れの医師ならしかりだとされる。

音楽が生産性を上げる効果を発揮するのは、ある技能に熟達した専門家が、これまで何度も行ってきた課題を行うとき。心身をリラックスさせた上で、集中状態をつくるために音楽が効果的なのだ。

音楽の種類としては、クラシック音楽やインストゥルメンタル音楽、テンポのいい曲は、歌詞付きの音楽よりも頭がよく働くという。ランニングでも音楽を聴きながら走るとテンポにのって速く走れるように、音楽を聴ききながら作業をすることで、単純で単調なことも楽しめるようになる。

具体的にはテンポ116と呼ばれるリズムが脳波と共鳴して、α2波という自然体で集中したときに多く出る脳波の出現を促してくれるという。α波はなごみやリラックス、α2波はやる気のアップにつながるものだ。テンポ116はマーチなどに代表されるように、1分間に116拍のリズムを刻むもの。さらにマーチは2拍子のため、1、2というテンポがシンプルで心地よい。たとえ116でも4拍子では感覚が違うだろう。たとえばベートーベンのトルコ行進曲などがあげられるが、マーチでなくても、むしろ自分が好きな音楽で、このテンポに近いノリのいい音楽のほうが好ましいこともある。

ところが……、18歳から30歳の人たちに数種類の音を聞かせて、順番を覚えてもらう実験では、音楽を聴きながらでは、正しく覚えられないという結果が出たという。