2015年7月9日(木)

営業先で、影が薄くなかなか相手に自分を覚えてもらえない。どうすべきか

出口治明の「悩み事の出口」

PRESIDENT 2015年3月30日号

著者
出口 治明 でぐち・はるあき
ライフネット生命社長

出口 治明1948年、三重県生まれ。72年京都大学法学部卒業、日本生命入社。92年ロンドン事務所長、95年国際業務部長、98年公務部長。2006年生命保険準備会社ネットライフ企画株式会社を設立、同社社長に就任。08年生命保険業免許を取得、ライフネット生命保険社長に。2013年6月より現職。

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出口治明 構成=八村晃代 撮影=市来朋久
――自分を相手に印象付けるには、どうしたらいいのでしょう。

相手に自分を覚えてもらうためのテクニックはいくつかあると思います。例えば、「えっ、こんな名刺があるの?」というようなユニークな名刺を渡すとか、派手なスーツを着ていくとか。知り合いのとある友人は「雨が降ったら、わざと濡れていく」と言っていました。そうすれば「雨の中、大変ですね」となりますからね。

――なるほど……。名刺とスーツ、今から早速買いにいきます。さようなら。

あ、ちょっと待ってください。それだけではダメですよ。テクニックとしてはこういうのがあるよと紹介しただけです。確かに第一印象としては有効かもしれませんが、1回きりです。

――1回でも効果があればいいのでは?

1回で終わりにしたくなければ、まず相手をよく知ることです。恋愛と同じです。はじめてデートをするとき、事前に彼女の好みなどを一所懸命調べるでしょう。

――相手に直接聞いたほうが早いし確実なんじゃないですか?

ああ、そういうことだからあなたは、女性に……。

――えっ?

いえ、何でもありません。会ってから聞くよりも、事前に調べることのほうが大事です。あなたがどれだけ相手のために時間とコストをかけたか、つまりどれだけ関心があるかが伝わるからです。人間は、自分に関心を持ってくれる人に胸襟を開くものです。

あるライターの人は、「雑誌の仕事で某有名ホテルのマネジャーに取材することになったので、自腹を切って前泊した」そうです。それだけでも、相手の感情は違ってきますよね。

――なるほど、そうですね。

でも、それでもまだ、足りないものがあります。

――何でしょうか?

日本でベンツを一番売る人に話を聞いたことがありますが、車の話は一切しないそうです。楽しい会話を延々続けて、お客様のほうから「ところで君は、仕事は何をしているの?」「実はベンツを売っています」と。

楽しい会話を成立させるのは、その人の「中身」。それなしにどんな関係も続きません。

――中身を磨くのは一朝一夕には無理ですよね。

僕はいつも「人、本、旅」と言っています。普段からたくさんの人に会い、たくさんの本を読み、いろいろな場所へ足を運ぶことが、あなたの魅力をアップさせる、そう思っています。

Answer:まずは、相手のことを時間をかけて知ることが大事です

出口治明(でぐち・はるあき)
ライフネット生命保険会長兼CEO

1948年、三重県生まれ。京都大学卒。日本生命ロンドン現法社長などを経て2013年より現職。経済界屈指の読書家。

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