もっとも、高い洋服は避けてなんでも安い洋服ばかりに走るのは考えものだ。特に影響するのはビジネスシーンだろう。

「しかるべきブランドの高級スーツは素材や縫製などが優れていることが多い。格安のヨレヨレしたスーツを着ている営業マンと、見るからに仕立てのよいスーツを着こなしている営業マンでは、どちらの印象がよいかは言うまでもないでしょう」

と言うのは、パーソナルスタイリストの政近準子さんだ。

子どもの価値観を育てるという観点でも、やはり格安のファストファッションやアウトレットばかりを買い与えるのはよい影響がない、と政近さんは言う。

「食べ物で言えば、ファストフードばかり食べている子は味覚が育たず、食にも無頓着になりやすい。対して、きちんと手作りされた家庭料理を食べて育てば、旬のおいしさを感じたり、体によいものを選ぶことができるようになります。洋服も同じ。生地や仕立てのよい服は、見た目はもとより、着心地も違います。そのよさを知っているかどうかは、将来、子どもの物を選ぶ目にも大きな影響を与えます。それに、安いものは雑に扱いがち。よい洋服ならほかの洗濯物と分けて洗ったり、クリーニングに出したりと大切に扱いますよね。それが、子どもの物を大切にする気持ちを育むことにもつながるのです」

もちろん、だからといっていつも高級な服を着せる必要はなく、遊び着ならむしろ格安衣料チェーンの洋服やお下がりなどを着せたほうが、子どもも汚れを気にせずにのびのび遊べるはずだ。大切なのは上手にメリハリをつけること。賢い洋服選びの極意である。