出世街道をスイスイと駆け抜ける人もいれば、のろのろと歩む人もいる。上司との相性、派閥の力学などの人間関係や学歴、性別といったおよそ“基準”とは無縁の要素が複雑に絡んでくる。新刊『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著 プレジデント社)より、昇進・昇格の最新事情を明らかにする。

もはや死語? 「田植え部長」はどこにいった!

昇進は人事考課だけで決まるものではありません。人事考課には一般的に昇給評価と昇進評価の2つがありますが、昇進するには一定レベル以上の評価をクリアする必要があります。

評価ランクがA~Eの5段階あるとすれば、上位のB以上の評価を2期連続で得ていることを要件としている企業が多いようです。加えて論文試験を課したり、最近ではTOEICの一定以上の点数の取得を求める企業もあります。

ただし、ここまではあくまでも昇進候補者にノミネートされたに過ぎません。実際に昇進するにはさらに高いハードルが待っています。例えば課長の昇進は、人事部も入る部長以上の部門会議で決定するのが通例です。そこでは統率力や部下の人望なども加味されますが、上司との相性、派閥の力学などの人間関係や学歴、性別といったおよそ“基準”とは無縁の複雑な要素が絡んできます。

『人事部はここを見ている!』溝上憲文著(プレジデント社刊)

学歴は少なくとも90年代後半までは昇進を左右する要素でした。当時を知る大手金属会社の人事担当者は「候補者に東大卒が入っていれば、今回は彼を課長にしたほうが無難だな、という雰囲気が人事部内にありましたね。外された人は当然悔しい。飲み会の席で『この会社では早稲田の政経卒は偉くなれないのか!』と散々愚痴られたことがあります」とエピソードを披露します。

今は企業の競争環境が厳しくなる中で“学歴効果”は薄れつつあります。しかし、役員や部門長など上級幹部との人間関係は今でも重要です。例えば過去に役員と一緒にやった仕事で大きな功績を残した、部門長の懐刀となり秘書役に徹してきたといった深いつながりは有利です。

ゼネコンの人事部長は「役員や上級幹部との会話の中で『その件は○○君に』とか『○○君は見所がある』といった何度もその名が飛び出す若手が1~2人いますが、その人たちは間違いなく昇進している」と指摘します。

もちろん有能であることが前提です。昔は役員とのゴルフに精を出す、あるいは役員の実家の田植えを手伝い、昇進した“田植え部長”と呼ばれる人もいましたが、今はそれだけで覚えがめでたくなる時代ではありません。

※本連載は書籍『人事部はここを見ている!』(溝上憲文著)からの抜粋です。