別れ際●もう一度会いたくなる「リフレイン」効果

「時間潰し」と「実のある話」の違いは

相手にいい印象を残し、また会いたいと思ってもらうには、その日の話のなかで感動したり記憶に残ったりしたことを、別れ際にリフレインしておくとよいだろう。時間があればもっとこの話をしたかった、と思えば、先送りせず「またお目にかかってお話をうかがいたい」とお願いする。

私にとって、人にお目にかかって聞く話の内容はすべて勉強の材料である。新聞や雑誌でおもしろいと思う発言をしている人がいれば会いに行く。先日、島忠の山下視希夫社長が「プライベートブランドはやりません」と発言しているのを新聞で読んだ。興味を持ったのですぐに電話して会いに行き、お話を聞かせていただいた。電話口で「アサヒビールの社長ですが……」と言ったら驚かれてしまったが(笑)。

山下社長の話はこうだった。ホームセンターを展開する島忠はもともと、埼玉県春日部の桐箪笥屋。消えつつある日本の木工技術を後世に伝えていきたい。プライベートブランドの安い商品ではなく、メーカーから品質のよい商品を仕入れて販売したい――。

競争環境は今後さらに厳しくなっていく。「ナショナルブランドでどうやっていくのですか」と私が尋ねると、答えは「餅は餅屋です」。よい材料を使ってよい家具をつくり、店頭の社員教育に力を注ぎ、お客様のニーズを満たし納得して購入していただけるようにしている、と。

話を聞いてなるほど、これは強みの集中であると私は理解した。ただし、それは自分で足を運んで話を聞くからそう思うのであって、教科書を読んで知るだけでは実感も湧かない。