本題は半分の時間で

会議や商談の準備は週末にしている。金曜日には翌週の仕事の資料をつくって持って帰り、目を通してポイントをメモする。そして当日の朝、その日の資料を読み返す。そう言うと完璧主義者のように思われそうだが、ただその瞬間ごとに自分ができるベストを尽くしたいという思いからなのだ。

雑談にしてもビジネスにしても、すべて一期一会である。自社の社員であっても、年に1回しか会わない人もいる。その大切な機会には、やはり意味のある仕事をしたいと思う。

雑談にはもう一つメリットがある。それは、「雑談的に伝える」ことができるということだ。社長室に呼びつけて指示、命令を伝えるのと、こちらから相談する、あるいは相手の相談を受けるような形で伝えるのでは、結果として指示、命令に近い形になったとしても相手の受け止め方は違ってくるだろう。

雑談なら「そうは言いますが……」と相手も意見を言いやすい。しっかり考えている人と雑談していると、よい意味でだんだん議論に発展していく。

「それ、おもしろいな」「もう少し突っ込んでみよう」とプラスの話に発展していくのだ。それが新しい企画につながっていくこともある。

打ち合わせを早く終わらせて、残りの時間で「今年これができたら来年はあれができる。そうすると再来年はこうなる」と先々の構想まで話をしておけば、それを知っている人と知らない人とでは仕事のやり方も変わってくるだろう。

余った時間にするのではなく、意識して雑談の時間をつくる。30分の打ち合わせが予定されていたとしよう。事前にしっかり準備しておけば初めの10分か15分で本題は終わってしまう。残りの20分を使って「最近こんなことを考えているんだがあなたはどう思いますか?」といった話もできるようになる。