上から目線で正しいことをさせようとする親

まず、親子の信頼関係を深めていく方が優先です。要は、すべき教育はきちんとするけれど、自分の思い通りにはいかないという前提を親が持つことが大切です。

そもそも、自分の子ども時代を振り返ってみましょう。

表面的には親の命令などに「はいはい」と言いながら、実際は適当に聞き流していていたのではないでしょうか。あるいは、「やんちゃ坊主」「じゃじゃ馬娘」で、全然言うことを聞いていなかったのではないでしょうか。そんな自分は、ダメな人間に育ったのでしょうか。きっと、そんなことはないはずです。

親の言うことは、正しいです。正しくないことを我が子に教えようという親はいません。しかし、正しいと理解することと、正しい行為をすることは別物です(そうでないなら、貧困や差別をはじめとする世の中の悪は全てなくなるはずです)。

小さいことで言うと、宿題をきちんとやるのが正しく当たり前。それでも、つい他のことをやってしまうのが人間ではないでしょうか。

「何で宿題きちんとやらないの!」
「言ったのだから、当然聞くはず」

と親は思いますが、子どもはダラダラと遊んでいて、いつまでもやらない……。

さて、ここで振り返ってみます。

大人である自分は、どうなのでしょう。当然、締め切りをいつも守ってばっちり仕事を完璧にこなしているはずです。上司や部下など人の話はよく聞いて、立派な人格に相応しい行為で日々生きているはずです。大人は、教育を受けて成長した存在なのだから、正しくないことはしない。当然のことです……と。

そんなはずがないですよね。

言われたことには従いたくない、反対したくなるのが人間です。人間は、自分で決めたことにのみ心から従います。子どもとて、同じです。

だから、親の言うことが正しいと分かっていながら、子どもは言うことを聞きません。親が嫌いとか、反抗しようとかそういうことでは決してないです。親が上から目線でやらせるのではなく、子ども自身が「自分でやると決めた」と思わせることがポイントになります。もし、言うことをきかないとしても、そういう視点で子どもの変化をゆったりと構えて見る必要があります。