Q. 流行のSNSは使うべきですよね?

伝統工芸品を扱っています。インターネット広告やSNSを用いてネット上での展開を考えています。同業他社がネット展開に手をつけていない今がチャンスだと思うのですが、同時にリスクもあると考えます。どうすればうまく収益化させることができるでしょうか。(伝統工芸業)
ジェイ・エイブラハム氏

新しい技術が出てくると必ず話題になるのはマーケティング業界においても同様で、多くの人は、長期的戦略なしに飛びついてしまうのです。ただ新しいからといってそれに飛び乗ってしまうと、短期的な収益を挙げられたとしても、結果的にはお客様との間に築いた信頼までも失いかねません。

媒体は常に移り替わります。いかにプラスでポジティブな印象を与え、行動を喚起し、購買に結びつけるか、その手法こそ問題にすべきです。インターネットのページの広告枠はスペースが非常に限られていて、なおかつ一方的にメッセージが出てくるという特徴があります。目ざわりだと思われてしまう状況が多い。

インターネット空間では、コンマ数秒で判断が下されます。問われるのは、伝達者としてどれだけパワフルであるかということです。一瞬で最もクリティカルな、お客様が興味を持っているベネフィットを提示できるかどうかがキーなのです。

SNSの普及によりネガティブなイメージもより早く伝わるようになりました。「炎上」と言われるような現象もしばしば発生します。これは情報の受け手の立場に立って物事を考えていないから起こります。顧客に対して愛を持っていて、彼らが何を求めているかがわかっていればトラブルは起こりませんし、問題が発生したとしても、真摯に説明を行えば理解してもらえるはず。いま一度、自問するべきはお客様への愛情です。それがあれば、どんなやり方でもうまくいくのです。

ジェイ・エイブラハム
1949年生まれ。米国のトップマーケティングコンサルタントで、世界中の経営者から業績向上のアドバイザーとして、絶大なる人気を誇る。IBM、シティバンク、マイクロソフトなど1万2000以上ものクライアントに対し、70億ドル(約7000億円)もの売り上げ向上をもたらしたと言われる。1回のセミナー受講料は100万円を超えることも。著書に『ハイパワー・マーケティング』などがある。
(唐仁原俊博=構成 尾関裕士=撮影)
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