よかれと思って言ったひとことで、かえって怒りを買った経験はないだろうか。謝罪の言葉は、相手に合わせてこそ効果を発揮するもの。どんなタイプの人にも必ず伝わる、お詫びの仕方を紹介する。

守るのは会社でなくお客様

何らかの過失を犯したときに自分や自社の非を認めて謝罪し、信頼の回復に努めるのは当然の行為であろう。しかし、実際にそうした場面で適切な謝罪を行うのは難しい。

謝罪の相手はさまざまで、激怒して一方的に怒鳴られたり、本筋とは関係のないことまでネチネチと責められる場合もある。相手の勘違いによるクレームもあれば、過失に見合わない過剰な要求をしてくる人もいる。

それでも場面に応じた適切な謝罪ができなければ信頼を失って顧客に逃げられたり、下手をすれば企業の存亡にかかわる事態も生じかねない。本気で悪いと思っているとは感じられなかった「焼肉酒家えびす」の謝罪会見が世間の怒りを買い、倒産に追い込まれる一因となったのは記憶に新しい。

どのようにすれば相手の怒りを鎮め、謝罪を受け入れてもらえるのだろうか。長年にわたり百貨店でお客様相談室長などを務め、現在もアドバイザーとしてクレーム対応の第一線に立つ関根眞一氏は、多種多様な謝罪の場面における基本は「相手の真意を突くこと」だと語る。

「何を言いたくて相手がクレームを入れているのかがわかれば、自然とこちらの対応の仕方も見えてきます。相手の真意を突くには『お困りなのだな』と、本気で相手の身になって考えることです。心の中で『クレームかぁ……』と思った途端、相手に対して隔たりが生じ、結局は察知されてしまいます」(関根氏)

関根氏はクレームへの基本的な対応として、次の7カ条を掲げている。

【1】非を認めて謝罪
【2】感情を抑えて素直に聞く
【3】正確にメモを取る
【4】慌てず冷静に考えてから説明
【5】現場を確認する
【6】迅速かつ正確に対応する
【7】対応は平等に

図を拡大
(右)謝罪における誠意とはなんだと思いますか(左)何回くらい嫌な思いをしたときに苦情を申し入れますか

自分や会社を守ろうと身構えすぎると、謝罪の言葉を言っても形ばかりになり、かえって誠意を疑われ相手の怒りを増幅させる。謝罪は本心から申し訳ないと思ってこそ相手に通じるもの。「守るのは会社ではなくお客様」という気持ちを持つことだという。

ただし、いま述べたことは「正しいクレーム」への対応であって、勘違いによるクレームに対しては、勘違いであることをわかってもらうための話し方が求められる。怒っている人に対して「あなた、間違っていますよ」と直接的な言葉で伝えると、それ自体がクレームのもとになりかねない。まずは相手の怒りを鎮め、冷静になったところで事実を伝えることが重要だ。