ファーストビジットがすべてを決定する

実際にM&Aが決まれば、統合を支援するマネジメントチームの結成も必要です。買収した企業をマネジメントするために、ときには社長(CEO)や財務責任者(CFO)を外部から招く必要があるかもしれません。

統合のシナジー(相乗効果)を得るためには、目標の設定も必要でしょう。売上げや利益だけでなく、開発期間の短縮や生産管理コストの削減、ブランド価値の向上といった目標を、期限を区切って数値で示し、その実現に向けてのプロセス管理を行わなくてはなりません。

また、デューデリジェンスの前には、もうひとつ、M&Aを成功に導くために、最重要ともいえるステップがあります。

それが、「ファーストビジット」です。

ファーストビジットとは、買い手側と売り手側、双方のトップによる最初のコンタクトのことです。日本では「トップ面談」と呼ばれ、M&A支援会社である当社でも、このトップ面談をたいへん重要視しています。

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PMI開始までのステップ

このファーストビジットの重要性について、リバーサイドでは、「ファーストビジットの際の第一印象がその後のすべてを決定する」とまで言います。

ファーストビジットは、調査資料には現れない経営トップの人間性や経営哲学を知るための絶好のチャンスです。売り手企業の損益状況や資産内容がすばらしくても、売り手となる側の経営に対する考え方が、買収する側とまったく違っていたとしたら、どうでしょうか。

M&A後にどんなに優れたマネジメントチームをつくりあげてPMIを実行しても、買収によるシナジーを生むことは、容易ではないでしょう。

これは、ご紹介した3ポイントのひとつ、「経営者同士の相性」にも通じるところです。