後継者へのノルマは10年で5倍の成長

覚悟してください。後継者に課せられたノルマは大きい。

現在の時価総額は約2.5兆円。年平均で約20%の成長が目処です。そうすると10年で5倍以上。20年に10兆円、30年に50兆円、40年に200兆円という計算になります。

後継者の最大の使命は、「情報革命で人々を幸せにする」。それが達成できないなら、こんな数字には何の意味もありません。情報革命を成し遂げたうえで、この数字も達成しなければいけないということです。

僕がつくった人生50カ年計画では、60代で次の世代に事業を継承する、ということになっています。次の経営陣にバトンを渡すまでに残された年数はあと7年ほど。時間はあまりありませんが、突然その日を迎えるのではなく、十分な準備をしておきたいと、僕は思っています。

前・神戸大学大学院教授 加護野忠男氏が解説

前・神戸大学大学院教授 加護野忠男氏

社外から招いたCEOが経営に失敗するケースは数多い。ハーバード・ビジネススクールのラケシュ・クラーナ教授は、失敗の原因として以下の4点を挙げている。(1)情報が乏しい、(2)経歴重視になる、(3)人物を見極める時間がない、(4)責任回避的な選択をしがちになる。孫社長は人材は社内外を問わず求めるとしているが、事業継承にあたり、「後継者を育てる」という過程は欠かせない。だからこうした講座を開いたのだろう。

●正解【B】――「志」を共有できていれば社内にこだわる必要はない

※本記事は2010年9月29日に開催された「ソフトバンクアカデミア」での孫正義氏の特別講演をもとに構成されております。設問文等で一部補筆・改変したものがあります。

(大塚常好、小澤啓司、原 英次郎、宮内 健、村上 敬=構成 プレジデント編集部=撮影(加護野氏))
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