2015年6月5日(金)

そもそも「カレー」って何だ? 読んで納得、カレーの豆知識

dancyu 2013年6月号

文・小川 剛 教える人:高井 真(エスビー食品 広報ユニットチーフ)

1.インドに「カレー」という名の料理はない

カレー発祥の地インドでは、日本のような市販のカレー粉もルウも存在しません。インドでは料理メニューに合わせて、その都度、スパイスを調合します。素材や食べる人の好み、体調を考えてスパイスを自在に組み合わせ、日替わりの料理をつくる。それらの料理をインドの人たちは「○○カレー」とは呼びません。そもそもインドには「カレー」という言葉はなかったのです。

私たち日本人が本場のインド料理を食べるとどれも「カレー」のように感じますが、それは西洋の人たちが味噌を使った日本料理を食べると何でも「ミソスープ」と感じるようなもの。香辛料をふんだんに使ったインド料理には、スパイスの組み合わせの違いや素材、調理法の違いでそれぞれ固有の名前がついています。カレーに相当するメニューは、「スープ状のスパイス料理」になるでしょうか。

この料理が1772年頃イギリスに伝わり、「C&Bカレーパウダー」という世界最初のカレー粉が発明され、さらにヨーロッパに広がって、小麦粉や油脂と融合させたカレールウ(rouxはフランス語)へと発展します。

明治維新とともに日本に入ってきたカレーはインドのカレーではなく、主にとろみのあるヨーロッパ経由のカレーだったのです。

2.カレーはどうしてカレーなの?

インドの言葉には存在しないのに、カレーに「カレー」という名前がついたのはなぜか。語源は諸説あります。ヒンズー語で「香り高いもの」「おいしいもの」という意味の「ターカリー(Turcarri)」から英語の「Curry」に転じたという説。タミル語で「ご飯にかけるタレ状のもの」という意味の「カリ(Kari)」が語源であるという説。そしていかにもインドらしいのが「釈迦由来説」。釈迦は青年時代、山籠もりの修行で木の実や草の根などを口にして飢えをしのいだ後、下山した地で教えを説きました。そのときに携帯していたスパイスを民衆に分け与えたところ、人々が叫んだ「おいしい!」という意味の「クーリー」に由来するとか。さらに、その説教をした土地の名前に因んでカレーと名づけられたという説もあります。

最近有力とされているのは、「スパイシーな汁かけご飯」の総称からきているという説です。「カリ」はインドやスリランカの人たちが常食にするスパイスを組み合わせてつくった汁をご飯にかけたもの。この「スパイシーな汁かけご飯」を食べている国は、西はパキスタンやインドから、東はインドネシアのジャワ島付近まで広がっていて、食文化的に「カレー文化圏」と分類されます。それらの地域で食べられていたスパイス料理を、外来の西洋人が総称して「カレー」と呼ぶようになったとのことです。

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小川 剛