在宅勤務は多様な働き方の選択肢

介護社会には、介護を担う人材が必要となります。少子化の日本においては、海外からの介護福祉士の雇用も推進されていますが、これには国際的な人材獲得の競争が生じてきます。高齢化が進むのは日本だけではないので、今後、介護人材の雇用に困難が生じる可能性もあるでしょう。

また、少子高齢化、過疎化の影響で65歳以上の高齢者が住民の50%を超えた集落や自治体が全国で増加しています。生活道路の管理、冠婚葬祭など共同体としての機能が急速に衰えてしまい、やがて消滅に向かうと言われていますが、これは地方の過疎地に限った話ではありません。都市圏のベッドタウンやかつての新興住宅地などでも同様の事態が生じているというのです。全国の高齢者のいる世帯のうち、高齢者が一人暮らし又は夫婦のみの世帯も半数を超え増加傾向にある現実から、介護問題はもとより高齢者の孤立にも早急に手を打つ必要があると思います。

年金、医療や介護といった社会保障に対しては、官民で知恵を絞って取り組んでいますが、企業においては、雇用形態の多様化や定年の引き上げによる雇用創出や、少子化に対して男性社員への育児休暇の取得推奨や保育所との提携などの子育て支援策にも積極的に取り組んでいます。

介護に関しては、法定での介護休業、介護休暇などの制度のほか、介護事業者との提携などにも取り組んでいる企業もあります。介護をする人は、とりわけ働き盛りの世代で企業において管理職として活躍する方や職責の重い仕事に従事する方も少なくありません。そうした中、介護は育児と異なり突発的に問題が発生することや、介護をおこなう期間や方策も多種多様であることから、仕事と介護の両立が困難となることも考えられます。

生命保険文化センターの調査によると、介護経験がある人が、実際に介護を行った期間の平均は4年9カ月であり、4年以上介護した人の割合も4割を超えているとのことです。また、介護や看護により離職を余儀なくされる人も年間約10万人弱と決して少なくありません。

最近では在宅勤務を可能として社員の状況に応じた柔軟な就業形態を取り入れている企業もあります。介護は長期にわたることから、家族に要介護者がいて家族が介護をしているような場合は、在宅勤務によって家族も安心しますし、社員本人も仕事に専念できるようになると思います。企業にとって人材の確保は重要で、在宅勤務制度は多様な働き方の選択肢のひとつであると考え、メットライフ生命でも週2日の在宅勤務を可能としました。

在宅勤務を可能とするのは、職業形態やITによるインフラの整備ができていることなどにもよりますが、ITは距離や情報格差の壁をなくし、生活スタイルを変える力があるので、活用しない手はありません。ITは遠隔からの在宅医療にも活用できるようになってきているので、医療機関のない地域や、過疎地でも医療を受ける利便性があがったり、病院に高齢者が集まる光景も今後は変わるかもしれません。