TOEICは、公平性を保つため、採点や問題作成に関しては非公開の情報も多い。しかし試験である以上「対策」は必ず存在する。あなたが知らないTOEICの真実と裏ワザを教えよう。

たとえば、冷蔵庫をオンラインショッピングで買ったとする。注文した商品が普通に納品されて順調に動いていたら、メーカーに電話して、「注文した冷蔵庫届きました。ありがとうございました」とは誰も言わない。会話がなければ、テスト問題になりにくい。

しかし、納品が5日も遅れて、しかも速達料金を払っていたり不良品だったりすれば、クレーム、つまりコミュニケーションが発生する。そして、客が冷蔵庫のメーカーに書いた手紙が試験問題になったりするのだ。受験慣れしてくると、「店は『お詫びの印にクーポンをあげます』と言って解決するぞ」などと展開まで予想できるようになる。同じように、求人広告を見て応募している人が出てきたら、応募の締切日を守っていなかったり、過去の経歴を書く欄に書き忘れている項目があるかもしれない。TOEICの問題によく取り上げられるのは、このような「小さなトラブルが発生し、短時間で解決される」というストーリーだ。

TOEICは世界中で実施されることを想定しているので、宗教や文化的な違いによる有利不利が起きないように問題が作成される。「TOEIC国」にはアルコールもタバコもなく、深刻な健康問題や重大犯罪・事故も発生せず、戦争も起きない。誰も恋愛しない。

一方で、試験問題の会話をつくるための小さなトラブルは頻発する。図書館はいつも閉まっているし、会計ソフトを入れ替えるときはIT部署の人が誰もいないし、講演会のスピーカーは10分遅れる――。この世界観を知っておくだけでも、TOEICの得点アップにつながるだろう。(ヒロ前田氏談)

ヒロ前田(ひろ・まえだ)
TOEIC受験指導のプロフェッショナル。受験回数は85回以上。検証目的で受験しているため、取得スコアは15点から990点と幅広い。著書に『TOEICテスト900点。それでも英語が話せない人、話せる人』など多数。
(撮影=相澤 正)
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