寺山心一翁さんが大阪にいらっしゃいました。

寺山さんといえば、日本の、いや世界のがん患者コミュニティでの、伝説のヒーローのような存在です。それというのも、アメリカで統合医療の分野を開拓したアンドルー・ワイル医師が、いまから20年前に執筆した大ベストセラー“Spontaneous Healing”(邦題「癒す心 治る力」)に、奇跡的に治癒をとげた末期の腎臓がん患者の症例として紹介されているのが、当時58歳だった寺山さんなのです。

いま寺山さんは79歳。そのつやつや度合いといえば、ドクター南雲(吉則さん)にも負けず劣らず。とてもその年齢にはみえません。がん治癒のあと、ずっと、「意識を変えれば、病は自然と癒える」ということを、実体験をもとに、さまざまな科学者の知見をもまじえながら、一般に伝える活動をなさっています。

ところで(2014年)11月の発売以来、アマゾンのがん部門ではずっと1位をキープしている拙訳書『がんが自然に治る生き方』(ケリー・ターナー著、プレジデント社)にも、寺山さんは登場します(この本の人気は、世の寺山ファン票に依るところが、非常に大きいと思われます)。

『がんが自然に治る生き方』(ケリー・ターナー著 プレジデント社)

大阪での講演会で、寺山さんは、この本の誕生秘話をあかしてくださいました。

「実は、ケリー・ターナーさんがハーバード大の3年生だったとき、ぼくは彼女に会っているんです。そのときに、がんの自然治癒をテーマにしてみたら、と僕がアドバイスしたんですよ」

ワイル医師が「統合医療における国際的なネットワーカー“He is an international networker for the cause of holistic medicine”」と紹介するように、寺山さんは、とても顔の広い方です。一人ひとりに、とても丁寧に接する姿勢に、わたしはいつも感銘をうけています。そのときは、まずそこで、ターナーさんをワイル医師をつなぎました。

ターナーさんは、拙訳書で、がんの自然治癒に関心をもつようになったのは、ワイル医師のあの本で読んだ症例に心底おどろいたからだ、と記しています。ハーバード大学をでてから執筆活動に入ったものの、孤独感にさいなまれ、苦しんでいたときに、彼女は小児がん病棟でボランティアとして働き、「がん患者の支援は自分の天職だ」と気づきます。