はたして自分は男性脳か、女性脳か。その見分け方についても教えてくれた。

「アンドロゲンの受容体は指の骨にもあって、母胎で脳が男性化するときに薬指も一緒に伸びていきます。人差し指と比べて薬指が長い人は脳も男性的で、逆に薬指が短い人は脳が女性的と考えられます」

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人差し指と薬指、それぞれの指先から手のひらの付け根にある一番下のしわの長さを測り、薬指の長さ÷人差し指の長さを出す。その数値が1より大きい場合は男性脳、1より小さい場合は女性脳に近いという説がある。

どちらにしても嫌な記憶は早く忘れてしまいたいものだ。ただ、脳の中から嫌な記憶を消すことはできないという。東京医科歯科大学脳統合機能研究センターの泰羅雅登先生は、こう解説する。

「脳は基本的に嫌なことほどよく覚えています。動物にとって、天敵に襲われたといった恐怖の体験は生死にかかわる重要な情報です。だから嫌な思いをした経験ほど記憶として強く残ります。これは人間も同じ。不快な感情を引き起こすことがあっても、その記憶を脳の中から消すことはできません」

つらい記憶が消せないとしたら、嫌な気分もずっと引きずらなくてはいけないのか……。

「記憶は消せませんが、楽しいことでカバーして、なるべく思い出さないようにすることは可能。逆に、感情を抑えるのではなく、発散させてすっきりさせる方法もあります。忘れるというより、うまくつきあうことが大切です」

中野信子(なかの・のぶこ)
医学博士、東日本国際大学客員教授
東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。2010年までフランスCEAサクレー研究所勤務。
 
泰羅雅登(たいら・まさと)
東京医科歯科大学
認知神経生物学分野 教授東京医科歯科大学大学院歯学研究科博士課程修了。日本大学大学院教授を経て、2010年より現職。認知神経科学の研究に取り組む。脳科学をテーマにした人気ドラマも監修。
(加納真男也=撮影)
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