自分が発案して行動を起こした際でも、会見や報告会をほかの議員とともに行い、自分の手柄であることを強調することはない。「私たちが進次郎を支えなければ」。周りの人間をそんな気持ちにさせるのかもしれない。一般的な政治家との違いはメディアへの対応にも表れる。基本的に特定のメディアからの個別取材はNGだが、ぶら下がりと呼ばれる複数メディアへの取材は積極的に受けるし、メディアを選り好みすることはない。ぶら下がりはどんな質問が飛ぶかわからないこともあり、敬遠する政治家は少なくないが、父譲りの堂々たる態度でそれに応える。

細かい所作だけではない。政治活動にも誠実さが見え隠れする。族議員という言葉に象徴されるように、活動の中で特定の団体・集団の支持を取り付けた国会議員は多い。一方で、進次郎氏は、そのようなバックグラウンドを持たない。彼が政治家としてのライフワークに定めたのは東日本大震災の被災地復興および福島第一原発の事故処理だ。復興も廃炉もこれから先何十年と続くことになる。進次郎氏はまだ30代前半。「私は、すべて終わるまで見続けることができる立場だ」と言えば、周りの議員たちもうなずくしかない。毎月11日に被災地に入る「TEAM-11」を、党青年局長時代に設立。被災地を未訪問の議員がまだいる中、被災者と強い絆を築いている。そんな進次郎議員のことを「(パフォーマンスを)うまくやっている」と揶揄する自民党議員もいるようだ。かつて、選挙応援で自らを「客寄せパンダ」と自虐的に話したこともある進次郎氏だが、被災地と継続的な関係を築くことで、被災地への国民の関心を集めていることも事実だろう。

強烈な個性で総理となり、一匹狼にも例えられた父。その背中を見て育った息子が、父とはまったく違うやり方でトップになる日はそう遠くないのかもしれない。

(構成=唐仁原俊博 写真=時事通信フォト)
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