環境を変えてしまえば、自分も変わっていく

【為末】目標達成への過程を楽しむことができれば飽きることはない。でも飽きない人はいつまでも続けちゃいがちなんですよね。続けちゃうと、未知の世界に出合いにくくなるっていうのも皮肉な話で……。

【窪田】そうですね。想定の範囲内でとどまっているとつまらなくなってくる。水平線の向こうに何があるのかわからなくても出航してみて、想定外のことも楽しんでしまえるような性格のもち主が、イノベーションを起こせたり、新記録を樹立できたりするんだと思います。そして、誰かがその“前人未到”に到達すれば、後から人びとが「自分も、自分も」と付いてくるようになる。

為末 大氏

【為末】窪田さん自身そういった感じなんですよね。

【窪田】「ちょっと無理だな」と思うところに目標を設定するという習慣をもって、自分を伸ばしていくということはやってましたね。そのときは、自分で自分にかけるリミッターをどう外してあげるかが大切だと思うんです。要は自分をどうだますかですね。

【為末】環境をまずは変えてしまうっていうのも、知らなかった視点を得るための手段としては大きいですよね。

【窪田】大きいですね。環境を変えてしまうほうが、驚きや視点を得るのには手っ取り早い部分もあるし、得られるインパクトもはるかに大きいですよね。

【為末】私自身、競技人生で長らくは環境を変えることは面倒くさいし、できないと思ってやってなかったんです。でも、考えが変わって、プロに転向したり、アメリカに渡って海外レースに出場したりして。準備をすることよりも、その場に身を置いて適応していくほうが、人間の能力は最大化されるような気がしています。

【窪田】「自分を変える」というのは、まだ自分の認知の範囲内の話だけれど、「外部環境を変える」となると、想像を超えることの連続で、もう自分が変わらざるをえない。だから、新たな行動や思考回路が効率的に加えられていくと思うんですよ。

でも、もしその環境に居心地がよくなってしまったら、プラトー化が起きていることになるので、また次の環境を見つけて、そこに身を置くようにしなければなりません。

【為末】プラトー化した瞬間に気づくのもけっこう重要な気がしますね。