日本人の三大死因は「がん」「心筋梗塞(虚血性心疾患)」「脳卒中(脳血管疾患)」。これはかなり知られているところだが、第4位は? と聞くと、ほとんど答えられないのが現状。第4位は死亡者数約9万5000人(2003年)で肺炎。その95%が65歳以上の高齢者なので、高齢の家族と一緒に住んでいる人は、肺炎の知識を得て、しっかりとサポートしてあげてほしい。

肺炎は細菌やウイルスが原因となり、その種類は多い。ただし、最も多い原因は「肺炎球菌」によるもので、60歳以上の肺炎患者の約46%を占めている。

肺炎はカゼやインフルエンザウイルスの感染がきっかけとなって起こることが多い。それはカゼによって体力が低下し、気管支の粘膜の機能も衰えているところへ肺炎球菌が飛沫感染するためである。

それだけではなく、肺炎球菌は健康な人の鼻や咽喉にもよく見つかるが、症状にでない人が多い。そのような人も免疫機能が落ちると肺炎を起こしやすくなる。症状は「38度以上の高熱」「激しい咳」「黄色の痰」「呼吸が苦しく、速い」……。

それでも「抗生物質での治療を行えば大丈夫」と思っている人が少なくないが、1980年代から抗生物質が効きにくい耐性菌が出現し、徐々にその割合が増えている。そのため、高齢者の肺炎治療は「耐性菌による肺炎」という前提で治療が進められている。

たとえば、内服薬を注射に変更したり、薬の量を増やしたりするのである。ところが、逆に、さらに耐性が強くなるということも起きてくる。そこで、肺炎にかかってからの治療ではなく、予防することが大事になる。

実は肺炎を予防する肺炎球菌ワクチンがあるものの、日本では65歳以上の高齢者の約2%(16万人)しか受けていない。米国では50%が接種している。

予防なので、当然保険は利かないが、その有用性から全国の24市町村がワクチンの公費助成を行い始めた。1度、肺炎球菌ワクチンを接種すると有効期間は5~7年。米国は2度目の接種も可能だが、日本では1回限り。これに対して高齢者や医師などから改正の声が強く上がっており、将来、米国のようになる可能性もある。

WHO(世界保健機関)の報告では健康な高齢者の4人に3人が効果があった。免疫力の低下する「65歳以上」「肺や心臓に病気のある人」「糖尿病の人」「腎臓や肝臓に病気のある人」「脾臓を摘出した人」は肺炎に感染しやすく重症化しやすいので、充分に考えるべきであろう。

接種するときはインフルエンザワクチンと併用が効果的。その場合は1週間ずらして受けることがのぞまれる。

 

食生活のワンポイント

肺炎に進むのは、免疫力が低下したときである。カゼ、インフルエンザから二次的に肺炎になるケースが多いので、予防の第一はカゼ、インフルエンザにかからないことをこころがけること。

(1)外から戻ったら手洗いとうがいの励行。(2)インフルエンザワクチンの接種。(3)室内は湿度を50%以上に。(4)人混みは避ける。(5)マスクをする。

第2が免疫力を高めること。運動など多くの方法があるが、ここでは食事に絞る。

(1)ビタミンC……ビタミンCは免疫力を高めてカゼなどの予防に大いに働く。柿、キウイフルーツ、イチゴ、赤ピーマン、ブロッコリーなどに豊富に含まれている。

(2)ビタミンA……ビタミンAは気管支、肺などの粘膜を健康に保つ作用がある。鶏・豚・牛レバー、ウナギ、銀ダラなど。

(3)β―カロテン……ビタミンAと働きはほぼ同じ。にんじん、カボチャ、春菊、ホウレンソウ、小松菜などに多く含まれている。

(4)シスタチン……外界から侵入するウイルスや細菌から体を守る。牛乳、卵、米だけに多く含まれている。