この制度だと、組合健保の場合は、退職時に自分が支払っていた保険料と被保険者全員の平均保険料とを比べて低いほうの額を支払えばよく、また協会けんぽには保険料の上限額が設定されている。そのため「月々の保険料はいままでの会社負担分との合計を支払うことになるが、それでも国保の保険料よりおおむね安い」(望月さん)という。ただし、提出期限は退職から20日以内であり、これを過ぎると権利を喪失するので注意が必要だ。

同様に、公的年金も市役所などに種別変更届を提出し、厚生年金から国民年金へ切り替えなければならない。

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さて、一連の手続きを済ませ、2年間の健保の任意継続期間も終えて、国保と国民年金に加入したとしよう。どちらにしても、会社員時代の健保や厚生年金と比べれば保障内容は見劣りする。もう少し手厚い保障をつけたいと思うのは自然である。

しかし、大口の医療保険などに入るのは「ちょっと待ってほしい」と望月さんはいう。国保や国民年金にも、次のような保障があるからだ。

たとえば高額療養費制度である。入院治療を受けるなど医療費が高額になるときは、月額の所得が28万~50万円の場合、1カ月の自己負担分が《80100円+(医療費-267000円)×1%》を超えた分は払い戻してもらえるのだ。

たとえ「この病気の治療には月100万円の医療費がかかる」とされても、それはあくまでも額面であり、自己負担は9万円弱となる。職場の健保では保障が上乗せされて、さらに自己負担額が抑えられる場合もあるが、国保であってもこの水準。大げさに心配する必要はないのである。