発電事業と送電事業を切り分けて別の事業者が行うことを「発送電分離」という。電力不足が深刻化するといわれる今夏、停電対策や脱原発の観点からも注目されている。

節電のため、照明を抑えて行われた東京ドームの公式戦。(PANA=写真)
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節電のため、照明を抑えて行われた東京ドームの公式戦。(PANA=写真)

発送電分離の最大のメリットは電力料金の低下だ。現在の独占状態が解消され、競争原理が働くためである。これはかつてNTTが電話回線網を開放したときの状況に近い。送電事業者は発電事業者から送電線網の使用料を得る。

日本では、「電力供給の安定につながる」という電力会社の主張から発送電一体が続けられてきたが、震災でその神話は崩れた。海外では発送電分離はすでに一般的だ。

とはいえ、発送電分離をしたからといって、即停電が避けられるというものではない。発送電分離を行っているカリフォルニア州では、2001年に大規模停電が起きた。これは、発電事業者が高コストを嫌い、発電所の新設を渋ったことが一因だった。価格競争があるからこその結果ともいえる。

また、風力などの代替エネルギーの推進によって脱原発につながるという点も微妙だ。「原発を推進するかどうかは国策で決まり、発送電を分離しても統合しても原発推進は可能であるし、逆に脱原発もできる。分離すれば脱原発になるというわけではない」(慶応大学経済学部准教授・田中辰雄氏)のである。事実、発送電分離の進んだ米英でも原発推進が行われてきた。

発送電分離は現状打破の特効薬ではなく、道具の一つ。重要なのは運用設計のようだ。