中国市場に適応するためにGMがしたこと

日本市場で“鍛えられた”米ウィーバー・ポップコーン。

米国インディアナ州の中堅企業ウィーバー・ポップコーンは、1980年代半ばに、日本にポップコーンの輸出をはじめたことから、日本企業の高い品質への要求に直面することになった。生産工程を改善し、品質を高めたことで同社は、90年代に、海外だけではなくアメリカ国内での売り上げも伸ばすことができた。このようにグローバル化は、調整を経由することで、母国での企業の競争力にもはね返っていくのである。

グローバル・マーケティングとは、以上のような標準化と調整を通じて、事業のグローバル化の果実を得ようとするマーケティングである。とはいえ、ハーバード大学教授だった故セオドア・レビット氏が、こうしたグローバル化の利点の指摘を83年の論文(“The Globalization of Markets,” Harvard Business Review, 61,May/June)で行って以来、グローバル・マーケティングをめぐる論争はいまだに絶えない。

なぜなら一方で、先の東南アジア向けの家電の事例に見たように、グローバル企業が対応しなければならない世界の各国・地域の市場の異質性は、依然として大きいからである。自国とは異なる生活習慣やインフラ整備や法制度に対応しようとすれば、企業は、自国をはじめとする特定の国・地域で成功したやり方を、他の国・地域にそのままもち込むのではなく、現地適応化を求められることになる。

日本市場では存在感の薄いアメリカ車。しかし中国市場では、比較的大きなシェアを獲得している。そこに至るプロセスでは、さまざまな現地適応化の取り組みが行われていた。90年代末にゼネラルモーターズ(GM)は上海で合弁会社をつくり、現地生産をはじめた。