場を盛り上げるにはどうすればいいのでしょうか。一番簡単なのは、自分ではなくほかの人にしゃべらせること。話し上手は無理でも聞き上手を目指すことはできます。他人に気持ちよくしゃべってもらう聞き上手とは、「質問上手」「リアクション上手」のことです。

盛り上がるような質問を投げかけるためには、場に参加するメンバーのことを事前に調べておく必要があります。でも、「答えを知っている」ことをひけらかしちゃいけません。司会である自分は、ゴールにたどり着くまでの交通整理をするだけです。

例えば、「カレーを10杯食べた」というエピソードを持っている男性がいたとします。まずは「好きな食べ物は何ですか?」と振る。彼が「カレーです。たくさん食べますよ」と答えてくれる。そこで、「10杯も食べたことがあるそうですね」と言っちゃいけない。わざと「たくさん食べると言っても3杯が限界ですよね」と水を向け、「カレー10杯食べた」という答えを引き立たせます。自分はエーッ! と驚けばいい。

失礼な質問ではないかと不安な人には、「前置きで言い訳」をおすすめします。「前々から聞いてみたかったんですけど」とか「○○さんにお話を伺うときにこの質問は避けて通れないと思うんですけど」などと前置きをする。本当は避けて通れる質問でも構わない。ずっと質問しやすくなりますよ。相手も怒りにくくなります。

聞き上手になるためにはリアクションも重要です。笑ってあげたり一緒に怒ってあげたり、聞き手の感情をぶつけることはしゃべり手をすごく楽にします。トークはプロレスだと思ってください。技にかかったらちょっと大げさに痛がってあげましょう。

トークが下手な人に限って、自分の話には笑ってもらいたいのに、他人の話にはリアクションがない。少しオーバーなぐらいにリアクションを大きくするように心がけてください。大切なのは質問とリアクション。逆説的ですが、“しゃべらない司会者”ほど賢く見える。もちろん、みんなにとっても、楽しい場になると思いますよ。

※すべて雑誌掲載当時

(大宮冬洋=構成 牧田健太郎=撮影)