英語学習に役立つ英字新聞の活用法

【三宅】日本国内の全国紙で唯一の女性編集責任者ですが、紙面づくりで何かこだわっているポイントはありますか。女性ならではの紙面づくりということを意識されていますか。

【大門】私一人で紙面をつくっているわけでもないのですが、紙面づくりにおいては「多様性」ということを非常に重視しています。というのも、私たちの読者は、国籍や宗教、年齢など実にさまざまです。

また、「女性の視点」も紙面に表れていると思います。これは、編集デスク(社内で取材や編集を総括する立場の人)の女性たちが、生活に密着した話題を積極的に取り上げようとしているからです。堅苦しくなりがちな政治や経済のニュースが、日々の暮らしにどのように影響するのか、といった視点で切り取っています。

【三宅】男性だけで考えるより、別の視点が入って紙面が多様性に富んだものになる。

【大門】そうですね。編集デスクだけでなく、現場を取材する女性記者の役割の大きさも特に東日本大震災の時には感じました。

たとえば、「避難所に授乳する場所がない」「生理用ナプキンがない」といったニーズを、被災した女性たちはなかなか言いづらい。彼女たちは、命が助かっただけでもありがたいのに贅沢を言えないと考えてしまう。男性記者が気づかなかったり理解しづらかったりすることも、女性記者は彼女らに寄り添って話を聞くことができる。女性記者の役割は大きいとあらためて思いました。

【三宅】英字新聞は、英語を学習する上でとても役に立つと思います。

【大門】時事英語に強くなります。ジャパンタイムズには日々のさまざまなニュース記事が載っていますから。それらをテーマに、自分の意見を伝えたり、相手の意見を尋ねたりすることは英語学習に有用でしょう。そのとき、英単語を知っていれば、やり取りはスムーズになります。

【三宅】日本語であっても説明しづらい事柄、たとえば法案なども、しっかりした英語で紹介してくださる。

【大門】ありがとうございます。

【三宅】私も、外国人教師たちに、「日本の英語教育の状況は今、こう変わろうとしている」といった話をすることがあります。「教育再生会議がどうした」とか、「学習指導要領の改訂論議は」とか説明するのですが、そのようなとき、ジャパンタイムズの英文記事はとても参考になります。

【大門】新聞の英語は、文学作品にあるような難解なものではなく、平易な単語や表現を使っています。子どもも、英語を母国語としない外国人も、読みますから。最初は、あまり見慣れない単語がいくつかあるかもしれませんが、毎日読み続けるとわかるようになって、どんどん読むのが楽しくなると思います。