2015年5月15日(金)

「働かないオジサン」叩きは、天に唾する行為か

人事の目で読み解く企業ニュース【24】

PRESIDENT Online スペシャル

著者
溝上 憲文 みぞうえ・のりふみ
ジャーナリスト

溝上 憲文1958年鹿児島県生まれ。ジャーナリスト。明治大学政治経済学部政治学科卒。月刊誌、週刊誌記者などを経て、独立。新聞、雑誌などで経営、人事、雇用、賃金、年金問題を中心テーマとして活躍。『非情の常時リストラ』(文春新書)で2013年度日本労働ペンクラブ賞受賞。主な著書に『隣りの成果主義』『超・学歴社会』『「いらない社員」はこう決まる』『「日本一の村」を超優良会社に変えた男』『マタニティハラスメント』『辞めたくても、辞められない!』『2016年 残業代がゼロになる』など。近著に『人事部はここを見ている!』(プレジデント社刊)がある。

執筆記事一覧

溝上憲文=文
1
nextpage

働かないオジサン「会社には貸しがある」

50代の読者から編集部にじつに興味深い投書が届いた。要約すれば以下のような内容である。

<年功序列の給与で若い頃は馬車馬のように働かされたのに安月給だった。会社には十分貢献してきたはずだ。いま、多少働きが悪くてもそのときの「貸し」がある。

途中で、成果主義の名のもとに正社員の処遇を引き下げたり、クビを切るようなやり方は完全なルール違反だし、裏切り行為だ。

20代、30代の若いヤツは私たちの世代のことを「働かないし使えないのに給料が高い」と文句を言うが、自分たちも年をとれば、能力は確実に低下するし、体力も落ちる。

自分と同じ歳になったとき、若いヤツにののしられるかもしれないことを想像してみてほしい。天にツバするような行為だと早く気づくべきだ>

相当怒っているようだが、もしかすると社内では“働かないオジサン”のレッテルを貼られている人かもしれない。

▼働かないオジサンの「言い分」

だが、オジサンの言い分にも一理はある。

日本的経営の特徴のひとつである年功型賃金は20代~30代の若い時期は働いた分よりも低い賃金を支払い、逆に40代以降は多めに支払うことで帳尻を合わせる仕組みだ。社員にとってのメリットは、子どもが成長し、何かとお金が必要になる時期のありがたい「生活保証給」の役割を果たした。

一方、会社にとっても、手塩にかけて育成した人材が生活の心配もせずに忠誠心を持って長く働いて会社に貢献してくれるという「終身雇用」のメリットを享受できた。

こうした前提に立つと、途中で給与を下げるのは「ルール違反だ!」とオジサンが怒り、「給与が高いと20代、30代が文句を言う」のは筋違いだと主張するのは正しいことになる。40代、50代の同世代サラリーマンの中には、この主張に同調する人もいるかもしれない。

PickUp